2018年4月6日に発表された創通の第2四半期決算は、減収減益とやや苦しい数字になった。売上高は89億500万円と前年同期比で2.7%減、営業利益は12億8700万円の12.5%減である。経常利益も13億5900万円(6.1%減)、当期純利益9億5600万円(3.5%減)となった。
依然利益水準は極めて高いが、2期連続のマイナスである。とりわけ創通は2016年8月期まで高い利益成長を続けてきただけに、気になる数字だ。
番組企画製作や広告関連のメディア事業は、ほぼ前年並みであった。売上高64億7000万円(3.4%増)、営業利益は3億2500万円(3.1%減)である。
『それいけ!アンパンマン』や『リルリルフェアリル』の継続作品のほか、『ゆるキャン△』、『ラーメン大好き小泉さん』などに製作出資した。また遊技機新発売に合わせた「JR東日本 機動戦士ガンダムスタンプラリー」といった大型販促キャンペーンが注目を浴びた。
一方ライツ事業は、売上高21億5400万円(16.8%減)、営業利益9億7300万円(14.4%減)といずれも二桁減少であった。ガンダムシリーズは計画どおり堅調であったが、それ以外のヒットがなかった。これにより製作委員会からの配分収入が減少した。
第2四半期までで減収減益だが、それでも創通は通期決算では小幅増収増益を見込んでいる。今後の業績は、ガンダムシリーズへの売上高利益の依存の大きさからどう脱却できるかが鍵になりそうだ。
創通はこれまで多くの作品にポートフォリオ的に製作出資してきた。しかしアニメ製作本数の急増にアニメのマーケット拡大が追いついていないことから、現在、製作委員会ごとの売上高収益は全体として下がっている可能性が強い。そうなるとポートフォリオ的な投資は、むしろ業績の低下につながる。
今後の事業成長に求められるのは、ヒットの確率を高めること、さらにヒットが出た時に一作品から得られる利益の拡大である。そうした点で、DeNA、文化放送と協業するオリジナルアニメプロジェクト「Project ANIMA」といった新規事業の成否が大きな鍵となる。
創通は巧みなライツマネジメントで、長らく高収益高成長企業として知られて来た。しかしさらなる成長を求めるための岐路に立っている。2019年3月期第2四半期決算は、そんな同社の現況を反映しているのでないだろうか。