
制作現場の人材不足が深刻化するなかで、近年、アニメ制作スタジオの地方拠点設立が活発だ。より広い地域からアニメスタッフを集めたいとの狙いがある。そうしたなかアニメ制作最大手の東映アニメーションも動きだした。
東映アニメーションは8月26日、大阪府大阪市内に新たな制作拠点「大阪スタジオ」を設立すると発表した。背景美術を中心にスタートし、順次制作機能を拡大する予定で、将来的には現在の制作拠点である東京・大泉スタジオと同程度の機能を持つことを目標としている。またゼロから構築出来ることをメリットとして、新しい挑戦をすることで大泉スタジオとは違った魅力を持つスタジオにしたいともする。
東映アニメーションは1956年創立、現在まで続く日本のアニメ制作会社としては最も古く、1000億円を超える年間売上げは国内最大、世界有数である。グループ連結でスタッフは1000名近くになる。
しかしビジネスの拠点は国内では東京・大泉スタジオ、中野本社、海外ではフィリピンの現地スタジオに集中してきた。大阪に本格的なスタジオが立ち上がれば、東映アニメーションにとっては大きなターニングポイントになるだろう。
アニメ業界は急激な国際化や成長で、制作ニーズも増加している。しかし、スタジオの制作能力やスタッフに限りがあり、制作作品数の拡大は容易ではない。
そこでこれまで制作の中心であった東京以外でスタジオを立ち上げることで、優秀な人材獲得を目指す動きが活発化している。東映アニメーションも、人手不足の深刻化を地方スタジオ開設の理由のひとつに挙げる。すでに国内有数の制作ラインを持つが、新スタジオ増設で制作本数の増加、ビジネス拡大も視野に入る。
地方の制作スタジオではこれまで美術系の教育機関の多い京都や福岡などが注目され、人口の多い大阪の言及は意外なほど少なかった。しかし大阪には現在もバンダイナムコピクチャーズやMAPPAがスタジオを設けている。これに東映アニメーションが加われば、大阪地域のアニメ産業の活性化につながりそうだ。