カドカワ、アニメの海外販売やライセンス好調 映像・ゲームは増収増益

ファイナンス決算

 エンタテイメント大手のカドカワは、2018年8月9日に2019年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は496億3100万円(0.6%減)と前年並み、営業利益は3億9900万円(49.5%減)、経常利益は11億1100万円(73.7%増)だった。当期純利益が3億6800万円の黒字に浮上した。

 好調だったのは、映像・ゲーム事業である。第1四半期売上高は111億5900万円と前年同期比で4.0%増、営業利益は8億7700万円で36.5%増と急伸した。
 なかでもアニメを中心とした映像部門が好調である。4月スタートのテレビアニメシリーズ『STEINS;GATEゼロ』『フルメタル・パニック! Invisible Victory』『ヒナまつり』の海外向け販売が収益に貢献し、『劇場版 ソードアート・オンライン‐オーディナル・スケール‐』『Re:ゼロから始める異世界生活』の商品化許諾も伸びた。
 またゲームでも、海外向けのロイヤリティが好調だった。『DARK SOULS Ⅲ』『Bloodborne』が、海外向けの中心となった。『DARK SOULS REMASTERED』のパッケージソフトの収益も大きかった。

 しかし直近で業績の下押し要因となっていたウェブサービス事業は赤字から脱することが出来ていない。売上高は有料会員の減少が続いており、売上高は67億7500万円と11.0%の減少。さらに営業損失は7200万円から4億1100万円に大きく拡大した。サービスの改善費用の増加、新サービス開発費用が重くなっている。
 一方でサービスインフラに向けた投資は積極的だ。「niconico」のクオリティ向上で新たな施策を打ち、6月28日には新バージョン(く)をリリースした。新規ユーザーに向けたハードルを下げる努力もする。会員登録不要の視聴・ライブ配信を打ち出したアプリ「nicocas」を8月1日リリースした。
 また7月23日にはインフィニットループと共同出資で、VRと3Dモデルの事業開発に注力するバーチャルキャストも設立している。サブカル分野が得意な同社の特性を活かす。

 出版事業の売上高は265億800万円(1.6%減)、営業利益は10億3700万円(5.3%減)だった。全体では数字の変化は小さいが、売上比率の変化が続いている。利益率の高い電子書籍・電子雑誌の成長が牽引している。
 しかし雑誌は販売部数の減少が続いている。書籍も含めて赤字だ。書籍はアニメや映画連動、『ソードアート・オンライン』『魔法科高校の劣等生』といったシリーズ人気のあるラノベなどは好調だが、全体をカバーできていない。

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