2025年3月期のサンリオの業績が急伸している。2024年8月2日に発表された第1四半期の連結売上高は289億1100万円と前年同期比で42.3%増と高い伸びだった。これは前年の46.9%増に続くもので、2年前と比べて倍増だ。
営業利益は107億4600万円(80.2%増)、経常利益117億400万円(83.6%増)、純利益は102億9600万円(109.4%増)だ。利益の伸びが大きいのは、利益率の高いライセンス事業が好調で売上比率が大きくなったためだ。
業績好調を受けてサンリオは、通期業績予想と配当予想を上方修正した。通期連結売上高はこれまでの1103億円から1193億円に引き上げられる。また営業利益は300億円から371億円、経常利益は304億円から387億円、当期純利益は208億円から287億円にそれぞれ見通しを変更した。配当も1株年間27円から37円に引き上げる。
第1四半期の好調は、国内ではインバウンド需要が強く店舗売上が大きかったことがある。国内店舗のインバウンド比率は38%、韓国、台湾、中国からの観光客が増えている。サンリオピューロランドの来場者数、売上げも上昇傾向だ。
また海外では北米と中国でライセンス事業が大きく伸びた。米州売上高は50億9000万円(141.1%増)、アジア売上高は63億9700万円(61.1%増)だった。アパレルや玩具、ヘルス&ビューティーなど幅広いカテゴリーへの展開が効果を発揮している。
ハローキティで世界的に知られるサンリオだが、企業業績では2010年代半ば以降は売上高は右肩下がりで伸び悩んでいた。それが2021年頃より著しい経営改善が見られ、22年3月期からは3期連続の増収増益を達成している。2025年3月期もスタートからこうしたトレンドを引き継ぐ。
経営の成功は、キャラクターの多角化が大きい。複数キャラクター戦略が奏功して「ハローキティ」の構成比率が10年前の75%から24年3月期は30%まで減少した。他のキャラクターの売上が伸びて、構成比率が広がっている。また海外での高い知名度活かしたライセンス展開を拡大、インバウンドにつなげているのも大きい。
現在は新規事業やマーケティングにも積極投資しており、それがサンリオの目指す時価総額1兆円、営業利益500億円の鍵を握りそうだ。