ガイナックスが組織再編、再生目指す 裁判関連報道でお詫び

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アニメ製作会社の株式会社ガイナックスが、組織再編を進めていることが明らかになった。2016年12月6日、公式サイトGAINAX NETに、「12月2日の報道についてお詫びとお知らせ」と題した告知を代表取締役の山賀博之氏の名前で掲載した。
このなかでガイナックスが現在、組織再編、一部の業務整理、そして会社移転を実行していると述べている。こうした施策により、ガイナックスを企画プロデュース中心の企業として再生するという。

今回のお詫びとお知らせは、12月2日付の毎日新聞が、アニメ製作会社のカラーがガイナックスを相手として約1億円の借入金の支払いを求める訴訟を起こしたと報道したものに対応したものだ。カラーはガイナックス出身の庵野秀明氏が代表取締役社長を務めている。
カラーは2日に、「同訴訟は株式会社カラーが法人として提訴したものであり、庵野秀明個人が提訴したものではありません。」とのコメントを公式サイトで発表している。裁判の事実を認めたものだ。
ガイナックスは今回、「裁判関連の報道につきましては、関係者の皆様には、多大なるご心配をおかけしました」としている。裁判の詳細については明らかにしていないが、組織の再編などで経営のスリム化を図っていることが分かる。

ガイナックスは1984年、関西のSF・アニメファンが劇場アニメ『王立宇宙軍』の製作を目指して設立した。『王立宇宙軍~オネアミスの翼』(1987)、『トップをねらえ!』(1988)、『ふしぎの海のナディア』(1990)などのヒットを相次いで飛ばし一躍名前を挙げた。1995年には一大ブームを巻き起こした『新世紀エヴァンゲリオン』を製作している。その後も、『フリクリ』(2000)、『天元突破グレンラガン』(2007年)などの話題作を世に送り出している。
しかし、2006年に取締役の庵野秀明氏らが独立しカラーを設立、2011年には大塚雅彦氏らが独立しトリガーを設立するなど主要スタッフが同社から離れた。2015年春期の『放課後のプレアデス』以降は、大きな作品は発表していない。また近年は自社作品の一部の権利を売却するなど事業縮小傾向にあった。

また今回の告知では、ここ1、2年で相次いで設立された“ガイナックス”の名前を掲げる複数のアニメスタジオについては資本関係がない企業としている。福島ガイナックス(2014年設立)、米子ガイナックス(2015)、GAINAX京都(2016)、GAINAX WEST(2016)、ガイナックス新潟(2016)の各社である。
福島ガイナックスでは、公式サイトにて代表取締役の浅尾芳宣氏が2014年の設立当初はガイナックスの関連会社であったが、2015年12月に全株式を引き取り、現在は独立会社であると説明している。2016年9月に東京都内に設けたGAINAX studioも福島ガイナックスによるものである。福島ガイナックスは、今後、ガイナックスとは作品プロデュースで協業をしたいとしている。

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