2023年北米コミック市場、前年比7%減 6年ぶりにマイナス 

ファイナンス決算

 米国のポップカルチャービジネスのメディアICv2は2024年7月15日に、2023年のコミック市場の年間売上高を発表した。調査は米国とカナダのマーケットを対象にしたもので、冊子スタイルのコミックスと単行本スタイルのグラフィックノベルを合算している。
 トータルの売上げは18億7000万ドル、日本円で約2900億円になる。このなかにはアメリカン・コミックス(アメコミ)と呼ばれる作品のほか、日本の翻訳マンガも含まれている。このうちコミックスが4億1000万ドル(約640億円)、グラフィックノベルが(約2250億円)だった。日本作品の大半はグラフィックノベルとして出版されているが、発表では全体に占める日本翻訳マンガの売上げやシェアについての言及はされていない。

 今回の一番のトピックは、市場が前年比で7%減少となっていることだろう。北米市場は2017年の9億2500万ドルから2022年まで順調な成長を続けてきた。市場の明確な縮小は6年ぶりとなる。
 2023年の減少についてICv2は、コロナ禍の影響を受けた巣籠り需要で2021年、22年に急激に売上げを伸ばしたが、これが一段落した反動と説明している。実際に2023年は前年比マイナスにも関わらず、2019年比では約70%多くなっている。コロナ禍で拡大した市場を維持しているとみられる。

 一方で、近年のコミック、マンガなどの市場環境の変化で、ICv2の統計は大きな変化を余儀なくされた。
 ひとつは2021年まで年間調査は、ICv2がコミック販売データ提供のComichronとの共同プロジェクトとしていたが、現在はICv2単独となっていることだ。これはComichronがそれまでデータのベースとしていたDiamond Comic Distributorsが情報提供を停止したためである。ICv2はDiamond Comic Distributorsに替わり、コミック専門店の抜き取り調査であるComicHubの情報と、書店流通情報のCircana BookScanから推計している。
 もうひとつは今回の調査よりデジタル出版の売上げを除外したことだ。2022年まではデジタル販売は全体の1割弱程度を占めていた。これはダウンロード型のデジタル販売が市場が小さい一方で、より大きいと見られるデジタルサブスクリプションの販売数値を正確に捉えられないためである。ICv2では過去に遡ってデジタル販売の数値を除外し、統計を修正した。
 このため今回発表された18億7000万ドル(約2900億円)の市場は、全て紙出版のものとなる。日本の全国出版協会・出版科学研究所の調査によれば、2023年の日本国内のコミックス(マンガ単行本)とコミック誌(マンガ誌)の売上の合算は2107億円だ。アメコミやマンガを合算すると、紙出版では北米市場が日本を上回っていることになる。

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