米国のポップカルチャービジネス情報誌ICv2の最新の分析によれば、北米のマンガ分野の売上が2020年に過去最高に達した。同社のグラフでは売上高は2億4000万ドル(約264億円)を示しており、過去最高であった2007年の2億1000万ドルを大きく超えている。
北米のマンガジャンルは日本マンガの翻訳出版が中心の構成で、2億4000万ドルもほぼ日本マンガで占められているとみられる。また今回の数字はグラフィックノベルと呼ばれる単行本スタイルの紙出版のみでデジタル出版は含まれていない。
北米のマンガ出版は2000年代に活発化し、ICv2が売上げ調査を開始したのも2002年だ。00年代半ばにはブームの様相を呈し、売上げは07年に2億1000万ドルに達した。しかし急激な成長の反動やリーマンショック、大手書籍チェーンの倒産、ネット上に違法アップロードされた海賊版の影響を受けて、08年から市場は急激に縮小している。12年にはおよそ6000万ドルと最盛期から7割近く減少した。
13年以降に再び成長軌道に入り、近年の日本アニメブームにも連動するかたちで19年、20年に急成長。07年の数字を13年ぶりに更新した。12年比では約4倍にもなり、短期間で急回復したことが分かる。
ICv2は市場の急成長について、コロナ禍で急成長する日本アニメの動画配信が波及していると説明する。さらに2021年の上半期の状況からマンガ市場は今後も成長のチャンスが大きいと指摘する。
2020年の売上げ上位には『僕のヒーローアカデミア』、『鬼滅の刃』、『進撃の巨人』などがある。一方で最近は『チェンソーマン』、『SPY×FAMILY』などアニメ化前の作品の大きなヒットがあり、伊藤潤二の作品が独自の人気を確立するなどの動きもある。大きく変化する北米のマンガ市場は、日本の関係者からも注目を浴びそうだ。
MANGA SALES IN NORTH AMERICA HIT ALL-TIME HIGH IN 2020
https://icv2.com/articles/markets/view/48728/manga-sales-north-america-hit-all-time-high-2020