中国系企業DMG、米国有力コミック出版社バリアントを買収 映画製作に活用

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 国内の産業発展が注目される中国だが、近年はその勢いは海外にも向かっている。ここ数年で中国系企業による海外企業買収は珍しくなくなってきたが映画をはじめとするエンタテイメント分野もそのひとつだ。
 2018年1月最後の週に、中国系映画会社DMGエンタテインメント(DMG Entertainment)が、米国の有力コミック出版社バリアント(Valiant)を、完全子会社化したことが明らかになった。複数のエンタテイメント業界誌が伝えている。
 ハリウッドレポーターによれば、DMGはこれまでもバリアントの株式を57%保有していた。これを100%まで買い増しし、完全子会社化する。バリアントの保有するスーパーヒーローの映画化、テレビドラマ化などに注力する。映像ビジネスに大きく乗り出す構えだ。

 米国のコミックス業界は、マーベルとDCが市場で大きなシェアを占める一方で、個性的な中堅出版社も少なくない。そのひとつがバリアント・コミックスである。市場シェアは1%程度、業界10位前後だが、コミック業界のアワードには数多くの作品を送り出すなど存在感は大きい。
 なかでも同社の強みは、「ニンジャク」、「Archer & Armstrong」、「Bloodshot」など独自のスーパーヒーロー、ヒロインを数多く擁していることだ。マーベルやDCと同様複数の人気キャラクターが活躍するユニバースを形成し、この分野に限れば業界第3位になる。

 DMGは、これらに目をつけたかたちだ。DMGは中国で上場するエンタテイメント企業で、これまでに『ルーパーズ』、『アイアンマン3』などハリウッドメジャーの大作映画に共同出資して大きな成功を収めている。
 現在は映画、テレビドラマ、コミック、ゲームなどをまとめあげたIPビジネスを掲げる。バリアントのキャラクターを手にすることで、今後はそうしたビジネスをさらに大きく展開することになる。すでにソニーピクチャーズとの間で『the Bloodshot and Harbinger』を開発中。複数のテレビシリーズの制作も進んでいる。

 DMGは米国の人気スーパーヒーローのキャラクターを多数獲得することになったが、今後の経営が順風とは必ずしも言えない。買収と同時に、バリアントのCEOであるDinesh Shamdasani氏がCEOを退任、さら会長とCOOも退任をしたと米国の業界誌が伝えている。
 新しい経営方針がすでにあるキャラクターの活用にしても、クリエイティブを支えてきた経営陣の退任は痛手のはずだ。外資企業によるIP活用がどれだけ成果をだせるかが、大きな注目を集めることになりそうだ。

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