一般社団法人 日本レコード協会が発行する「日本のレコード産業2024」によれば、2023年の国内音楽ソフトの総生産高は3372億円で前年比10%増となった。「日本のレコード産業」は、レコード生産統計の基礎データや関連資料を日本レコード協会が毎年まとめるレポートである。
3372億円のうちCDやアナログレコード、カセットなどのオーディオレコードと音楽ビデオ(DVD、ブルーレイなど)の生産金額は前年比9%増の2207億円、音楽配信売上が11%増の1165億円だった。またオーディオレコードと音楽ビデオの生産数量は1億5908万枚(巻)で、こちらも9%増だった。
音楽ソフト生産・音楽配信売上実績金額は2021年以来3年連続の増加で、過去11年間で最高となっている。国内の音楽関連市場に追い風が吹いている。
2023年の特徴は成長を続ける音楽配信市場だけでなく、レコードやカセット、CD、DVD・ブルーレイといった音楽ソフトでも全てのジャンルで前年比で増加したことである。
もっとも売上高が大きなCDは1390億9500万円で7%増だった。またアナログレコードも62億6700万円と金額は少ないが、前年比45%増の伸びだ。2010年には1億7000万円まで市場が縮小していたことを考えれば、飛躍と言っていいだろう。
さらに四半世紀にわたり縮小してきたカセットも、前年の6200万円から2億1200万円にいっきに反転した。音楽ビデオ(DVD・ブルーレイ)は744億6900万円で、前年比10%の増加になる。
分野別で縮小が続いているのが、音楽ダウンロードである。2023年は前年比で11%減少の102億2400万円。売上げは2000年代半ばより、一貫して下がり続けている。
これをカバーしているのがストリーミングで、23年は1056億1700万円と14%増だ。わずか5年間で2倍以上の売上高になった。なかでもサブスクリプションでの売上が全体の8割以上を占める。音楽配信市場の伸びは、ダウンロード型からストリーミング型へのビジネスモデルの入れ替わりに支えられている。
2023年にはアニメーションの新譜は合計465タイトルがリリースされた。邦楽の新譜全体に占めるシェアは6.5%だ。邦楽新譜ではポップス・歌謡曲が約3/4と、大半を占めている。全体のカタログに占めるアニメーション関連タイトルは9.5%であるから、アニメーションの新譜がかつてより勢いを失っていることが窺われる。