音楽流通のデジタル化の波を受けて、減少が続いてきたCDなどの音楽ソフト生産が新しい局面に入るかもしれない。2022年2月1日の一般社団法人日本レコード協会が発表した「2021年年間レコード生産実績」によれば、2021年の音楽ソフトの生産数量は前年比で3%増加の1億5103万円だった。また生産金額は20年の1944億円とほぼ同じ1936億円だった。
生産数量が前年を上回ったのは2012年以来、9年ぶりとなる。邦楽が2%増、洋楽は13%増の二桁の伸びとなったが、邦楽と洋楽の比率は9:1で邦楽優位は依然強い。
音楽ソフトはCD、レコード、カセットの他、ビデオも含んでいる。伸びが大きかったのは、この音楽ビデオで、数量で11%増、金額では2%増だ。音楽を聴くだけでなく、見て聴くといったトレンドが続いているのが分かる。
またシェアは低いながらオーディオレコードの成長トレンドが加速している。2021年は数量で74%増の191万枚、金額で84%増の39億円となった。最も売上げが少なった2010年の1億70000万円と較べて20倍以上にもなる。ジャンルとしてのオーディオレコードが復活したと言ってよさそうだ。
引き続き音楽流通のデジタル化が進むなか、音楽ソフト市場の下げ止まりが今後新たなトレンドになるのかは、2022年以降の動きを注視する必要があるだろう。
一方、もうひとつ注目される音楽配信売上の年間売上げは、同じ日本レコード協会から2月末から3月上旬に発表される。そこで国内の音楽市場全体の動向も確認出来る。
一般社団法人日本レコード協会 https://www.riaj.or.jp/