東映アニメーションの株式売り出しにあたり、自社保有株を放出するバンダイナムコホールディングスの投資有価証券売却益(特別利益)が411億4200万円になることがわかった。株式の受け渡し日は2024年3月5日となるため、特別利益は2024年3月期に計上される。
これによりバンダイナムコHDは、これまで未確定としていた通期連結決算の当期純利益が980億円になると発表した。今期はオンラインゲーム新作タイトルの評価損、ゲーム開発タイトル見直しによる処分損を大幅に計上したが、この落ち込み分をカバーすることになる。当期純利益は前期比で8%程度多くなる見込みだ。
バンダイナムコHDの東映アニメーション株は、取引関係が深い企業の戦略的持合いとなっている。長年、保有していた株式に加えて、2017年にはビジネス関係をより強固にするためとして株式を追加取得した。この際に持ち株比率が約2%から約11%に上昇して、東映アニメーションの第3位の株主になっている。
今回はこのうち持株比率8%弱程度にあたる約311万株を手放す。それでも売却後の持株比率は3%を超え、大株主のひとつに留まる。
巨額の特別利益は、取得価額と売却価額の差にあたる。東映アニメーションの株価は同社の好調な業績を反映して、長年上昇を続け、近年はさらに値上がりスピードがアップしている。
ただし大型売り出しで株式需給が弱まることを懸念して株価は下落し、1株あたりの売却価額は売り出し発表前の株価から低くなっている。
東映アニメーションの株式売り出しは、株式流通比率を上げることが目的である。東京証券取引所スタンダード市場は発行済株式の流通比率25%以上を定めるが、東映アニメーションはこれに達していなかった。
バンダイナムコホールディングスとソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが保有株を売却することで、流通量を拡大するのが狙いだ。ソニー・ピクチャーズは現在78万株を保有するが、この全てを今回売却する。