中国から日本向け アニメ配信巨大海賊版サイト運営者に現地で有罪判決確定

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 中国から日本向けにアニメを配信していた海賊版サイトの運営者らに、有罪判決が確定した。被告となったのは、日本語向けのアニメ海賊版サイトで世界最大規模の「B9GOOD」を運営していた男女である。
 主犯格の男性は著作権侵害罪で懲役3年執行猶予3年6ヶ月、罰金180万人民元(約3800万円)の有罪判決。共犯で報酬を受けてサイトにアニメを無断アップロードしていた女性ふたりもそれぞれ執行猶予付の懲役刑となっている。アップローダーのひとりは、刑法上の減免措置がされた。
 日本からの刑事告発で中国の海賊版サイトの運営者とアップローダーが刑事摘発され、有罪が確定した初のケースとなった。

 国内外で日本アニメの正規配信視聴が急拡大する一方で、依然、インターネット上では海賊版サイトによる配信が後を絶たない。なかには法制の違いや追跡の困難さから、国境を越えてグローバルな体制を築く海賊版サイトも多い。
 2023年まで、中国で運営されてきた「B9GOOD」もそうしたひとつだ。中国から日本アニメを日本語で配信し、日本のユーザーを主に対象としていた。日本語ユーザーに向けた海賊版サイトでは世界最大規模となっていた。日本から中国へは、捜査の手が及び難いことは念頭に置いていた。
 被告は2008年から2023年2月までの期間、中国国内、カナダ、日本などでサーバーレンタルして、サイト名やドメインを変更しながら長年サイトの運営を続けていた。アップロードされた作品は4万5880本にも及んでいる。

 転機となったのは2023年2月で、日本のCODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)からの刑事告発で、中国江蘇省の公安局が「B9GOOD」を運営者の身柄を拘束し、取り調べを行った。CODAは日本コンテンツの海外展開促進と海賊版対策を目的とした組織だ。日本と中国の公安局が協力することがで、海賊行為を摘発する先駆的な例になった。
 CODAでは今回の摘発と判決が、海賊版サイト運営の抑止になることを期待するとしている。国境を越えた大規模な摘発が可能であることを示した効果は大きいだろう。

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