2023年国内映画興収2214億円、10億円超邦画アニメは12本

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■年間興収2221億8200万円、前年比3.9%増
 一般社団法人日本映画製作者連盟(映連)は、2024年1月30日に2023年の国内映画興行成績などをまとめた「日本映画産業統計」を発表した。映連は松竹、東宝、東映、KADOKAWAの大手映画会社4社が参加する団体で、毎年発表する「日本映画産業統計」は、映画ビジネスの現状を知る基礎資料として広く活用されている。
 産業規模を知るために最も注目される年間興行収入は、2023年で2221億8200万円だった。前年比で3.9%の増加。3年連続で前年を上回り、コロナ禍からの回復が進んでいることが分かる。それでも過去最高であった2019年対比では85%に留まっている。

 また2021年以降の興行収入は過去数年に相次いで実施されたチケット代の値上げも反映している。2019年の平均料金1340円に対して2023年は1424円と過去最高であった。
 2023年の映画館の入場者数は1億5553万人と前年比2.3%増だ。しかし2019年対比では約80%と2割低い。上昇基調にはあるが、コロナ禍からの完全回復とは言えない。

【2023年興行収入】
 2214億8200万円(3.9%増)
  [邦画] 1481億8100万円(1.1%増)
  [洋画] 733億100万円(10.2%増)

【2023年入場数】 
 1億5553万人 (2.3%増)

 完全回復仕切れない理由のひとつに洋画の不振がある。2023年の洋画の興収は733億100万円で前年比10.2%増だが、1000億円を超えていた2017年~19年を大きく下回る。興行全体に占める割合も33%と邦画の半分程度。邦画だけで見れば興行収入は1481億8100万円と、過去最高であった2016年の1486億円にほぼ並ぶ。
 一方、一年間の公開本数では、全体の1232本のうち邦画が676本と54%、洋画は556本の46%になる。洋画の効率の悪さが目立つ。

【2023年公開本数】
 公開本数 1232本(7.7%増)
  [邦画] 676本(6.6%増)
  [洋画] 556本(9.2%増)

■興収10億円を超えアニメ12本、興収は邦画の4割
 邦画を牽引したのは、引き続きアニメ映画だ。2023年度に興収10億円を超えた邦画は34本、興収合計は1139億1000万円になる。このうち12本がアニメで興収合計は481億円と4割を超える。1位から3位までを『THE FIRST SLAM DUNK』、『名探偵コナン 黒鉄の魚影』、『君たちはどう生きるか』が占めるなど、アニメ映画の大型ヒットの果たす役割大きかった。
 アニメ作品は『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』が29億2000万円、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が24億7000万円、『BLUE GIANT』が13億円、『かがみの孤城』が10億9000万円とサプライズなヒットもあった。また『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 -とべとべ手巻き寿司-』(24億7000万円)、『映画プリキュアオールスターズF』(14億6000万円)が、いずれも20年以上続くシリーズで過去最高となり、アニメの勢いを感じさせた。
 実写邦画では『キングダム 運命の炎』が56億円で発表時点では最高、海外でも大ヒットになった『ゴジラ-1.0』(55億9000万円)、『ミステリと言う勿れ』(48億円)が続く。

【邦画アニメ・興行収入10億円以上】
『THE FIRST SLAM DUNK』 (158億7000万円)
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』 (138億8000万円)
『君たちはどう生きるか』 (88億4000万円)
『ドラえもん のび太と空の理想郷』 (43億4000万円)
『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』 (41億6000万円)
『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』 (29億2000万円)
『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 -とべとべ手巻き寿司-』 (24億7000万円)
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』 (24億7000万円)
『映画プリキュアオールスターズF』 (14億6000万円)
『BLUE GIANT』 (13億円)
『かがみの孤城』 (10億9000万円)
『劇場版シティーハンター 天使の涙』 (10億6000万円) 
(2024年1月時点)

■洋画は「スーパーマリオ」が140億円でダントツ
 アニメーションは、洋画でもトップとなった。第1位は日本の人気ゲームを映像化した『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が140億2000万円と群を抜いた成績だ。洋画アニメーションは全体では、10億円を超えたのはピクサーの『マイ・エレメント』(27億円)、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を加えた3本のみだ。
 10億円超の洋画は15本、興収合計は483億2000万円。第2位以下は、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(54億3000万円)、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(43億1000万円)、『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(38億3000万円)が続く。

【洋画アニメ・興行収入10億円以上】
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』 (140億2000万円)
『マイ・エレメント』 (27億円)
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』 (11億1000万円)

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