国内映画興行がコロナ禍前の水準に向けて、回復してきた。日本映画製作者連盟が2023年1月31日に発表した2022年の全国映画概況によれば、同年の年間興行収入は2131億1100万円と前年比31.6%と大幅に伸びた。2000億円を超えたのはコロナ禍前の2019年以来3年ぶりだ。19年の2611億円とはまだ差はあるが、17年の2285億円、18年の2225億円とは遜色がない。
映画館来場者数も伸びている。こちらは1億5200万人と前年比32.4%増。一方で平均入場料は前年の1410円から1402円に微減となった。
大きな回復は邦画、とりわけ劇場アニメの大ヒットが相次いだことが大きい。映画製作者連盟のまとめる作品別興行ランキング(一部21年末公開を含み、22年末公開を含まない)では、1位に『ONE PIECE FILM RED』(197億円)、2位に『劇場版 呪術廻戦 0』(138億円)、4位に『すずめの戸締まり』、5位に『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(97.8億円)とアニメ作品が並ぶ。興行収入10億円以上の作品は邦画26本中の14本を占める。
邦画の興行収入1467億7900万円は、2014年の1486億800万円に次ぐ歴代2位である。邦画アニメに限定すれば過去最高を更新したと見られる。近年の劇場アニメの勢いを再確認させるものになった。
一方、洋画は復調からは遠い。665億3200万円は前年比98.3%増と大きいが、それでも2019年の水準の6割弱だ。大きなヒットは『トップガン マーヴェリック』(135.7億円)、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(63.2億円)、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(46億円)。
洋画アニメーションでは、『ミニオンズ フィーバー』(44.4億円)、『SING/シング:ネクストステージ』(33.1億円)がヒットしたが、ディズニー/ピクサーの『バズ・ライトイヤー』 (12.2億円)、ドリームワークス・アニメーションの『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』(10億円)は勢いに欠けた。
【2022年度 興行収入10億円以上邦画アニメ】
『ONE PIECE FILM RED』* (197.0億円) 東映
『劇場版 呪術廻戦 0』 (138.0億円) 東宝
『すずめの戸締まり』* (131.5億円) 東宝
『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』 (97.8億円) 東宝
『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』 (26.9億円) 東宝
『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』 (25.1億円) 東映
『映画 五等分の花嫁』 (22.4億円) ポニーキャニオン
『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』 (20.4億円) 東宝
『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEスターリッシュツアーズ』* (19.8億円) 松竹
『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』 (15.0億円) バンダイナムコフィルムワークス
『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』* (11.6億円) アニプレックス
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』 (11.0億円) 松竹ODS事業室
『映画 ゆるキャン△』 (10.8億円) 松竹
『劇場版 Free!the Final Stroke 後編』* (10.0億円) 松竹
※「*」印は発表段階で上映中
【2022年度 興行収入10億円以上洋画アニメーション】
『ミニオンズ フィーバー』 (44.4億円) 東宝東和
『SING/シング:ネクストステージ』 (33.1億円) 東宝東和
『バズ・ライトイヤー』 (12.2億円) ウォルト・ディズニー
『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』 (10.0億円) 東宝東和/GAGA