映画・アニメ業界、作品製作・制作に大きなジェンダー格差 JFPが調査

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 一般社団法人Japanese Film Project(JFP)は、2023年12月12日に「実写映画・アニメ映画・演劇の制作現場における日本映画界のジェンダー調査2023」を発表した。映画や舞台作品の製作や制作における男性と女性のギャップや環境を明らかにする調査で、2021年、2023年に続き3回目になる。
 1回目、2回目では実写映画だけを対象にしてきたが、今回はアニメ映画と演劇を新たに対象に加えた。より幅広いエンタテイメント領域を調査することで、社会全体の状況を明らかにすると言えるだろう。

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 実際に今回の調査からは、映画業界と同様の傾向がアニメや演劇にもみられる。特に目立ったのは、監督やプロデューサーなど意思決定の大きな職種では、全体の割合より女性の比率が低くなることだ。
 例えば2022年に公開された興行収入10億円以上のアニメ映画では、女性アニメーター数は全体の58%と過半数を超えたが、アニメーターの仕事を統括する作画監督・総作画監督では41%だった。同様に制作進行では女性は32%を占めるが、プロデューサーの数は18%に過ぎなかった。美術関係スタッフも53%は女性だが、美術監督の比率は20%にとどまる。
 さらに製作委員会として名前があがった女性は全体の28%、2022年劇場公開したアニメ映画の女性監督比率は9%と、ここでは数値自体に男女の間に大きな格差がある。アニメ映画の製作・制作におけるジェンダー格差は確かに存在するようだ。

 調査を行ったJFPは、近年、日本の映画業界で問題となっている様々なハラスメントや低賃金・長時間労働などに対する提言を目的に2021年に設立された。「Research(調査)」「Advocacy(提唱)」「Action(行動)」の3つの柱を軸に活動している。
 JFPではこれまでの調査では若手や女性、現場スタッフの声が十分に反映されていないとする。そこで「労働者側からの調査」を行い、「日本映画業界の持続可能な制度設計」を考え、政策提言へと繋げることを目指す。
 「ジェンダーギャップ・労働環境問題」に対する調査は、その一環だ。調査結果を広く社会で共有することで議論を促すことが目的だ。

 またJFPは文化庁委託事業として「映画スタッフに向けた契約レッスン」も開始した。文化庁が公表した「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」をもとに、契約に関する知識を広く普級させるプロジェクトを進める。
 このなかでは業務委託の際には、業務内容、報酬額、支払期日その他の事項を、書面またはデジタル上で明示することなどを解説する。

一般社団法人 Japanese Film Project(JFP)
https://jfproject.org/
・調査資料 https://jfproject.org/research

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