2023年12月1日、映画大手の東宝はグループ子会社TOHOスタジオが、東京都世田谷区の東宝スタジオにて「HIGH-RESOLUTION BASE」の稼働を開始したと発表した。HIGH-RESOLUTION BASEは、現在、映画業界でのニーズが高まっているハイエンドな映像ポストプロの拠点を目指した新設備である。
2K/4Kスクリーン対応のDI ルームやモニターグレーディング対応のDI ルーム、4K/HDR に対応したオンライン編集室などを設ける。さらにそれらが10Gbpsの高速回線で結びつけられている。
また東宝スタジオが誇る国内最高水準の音響環境を持つポストプロダクションセンターに隣接しているのも売りだ。これにより撮影中のデータ管理からオフライン編集ほか、全てのポストプロダクション工程が東宝スタジオの中で作業できることになる。
HIGH-RESOLUTION BASEは最新鋭の技術持つ一方で、長く続く映画文化の保存・維持にも目を向ける。12月1日より、同じ東宝グループ会社のTOHOアーカイブは、映像資産のアーカイブサービスをスタートさせている。このTOHOアーカイブの映像資産アーカイブサービスは、HIGH-RESOLUTION BASEにて行われる。
現在の映画業界では、撮影やポストプロダクションのほとんどはデジタルでするが、1896年の映画誕生以来の約130年、大半の期間はフィルムで映像を記録してきた。
現在も多くの作品がフィルムで残されているが、フィルムは経年劣化することが映像資産を保全するなかで大きな課題となっている。また近年は映画上映の環境や撮影・編集のデジタル化で、フィルムで残された過去の名作や貴重な映像記録へのアクセスが困難になりつつある。TOHOアーカイブはこれに対応する。
さらにTOHOアーカイブは、東宝グループの映像資産だけでなく、それ以外の映像関連企業や一般事業会社、個人が保有する映像資産まで広い範囲での映像のデジタル化を目指す。同時にこれらの映像資産を美しい状態で保存し、長く残していくことで映画・映像文化への貢献を目指す。それが「TOHO」ブランドの世界における価値も高めるとしている。