国内最大の映画会社東宝が、映像制作事業子会社を再編した。2020年12月1日付で、100%出資の2つの連結子会社・
東宝映画と東宝スタジオサービスを合併した。東宝映画が東宝スタジオサービスを吸収し存続会社となるが、同日付で商号をTOHO スタジオ株式会社変更、新生スタジオアピールする。
東宝映画は「東宝撮影所」を前身に1971年に設立された映画制作会社で、「ゴジラ」シリーズや『世界の中心で、愛をさけぶ』、『隠し砦の三悪人THE LAST PRINCESS』などの大作を含めてこれまで200 本以上の映画を世に届けている。
一方の東宝スタジオサービスは2005年設立された。撮影ステージやポストプロダクションを事業とする。映画制作現場となる東宝スタジオを運営する。
両社の事業が統合されることで、映像制作とスタジオ施設運営機能が一体的に機能する。東宝ではソフトとハードの一体化や、制作準備から撮影・仕上げまでをワンストップで提供することでスタジオの機能強化を図るとしている。
東宝映画の売上高は2020年2月期で38億1000万円、東宝スタジオサービスは3億2000万円。規模からみると東宝映画による東宝サービスの吸収合併にみえる。しかし、ここで敢えて商号変更することに東宝の映画制作事業への考え方もみてとれる。
新会社は映画だけでなく、テレビドラマや配信コンテンツ、アニメーションなど、あらゆるジャンルの作品を制作するとしている。今冬からオープンするテレビや配信コンテンツのポストプロダクションサポートのMAルームもそうした動きのひとつだ。事業統合・合併は、より幅広い映像制作に向けた機能強化の布石と言えそうだ。