IGポートが8月31日に提出した2021年5月期有価証券報告書に、グループ内の3つのアニメーション制作会社と出版子会社マッグガーデンの業績が開示されている。IGポートの直近の決算は増収増益で、大幅に利益を拡大したが個別では各社業績に差がでている。
売上高で最大なのは、グループの中核制作会社であるプロダクション I.Gである。売上高55億400万円。経常利益4億8800万円、当期純利益4億5900万円と順調だ。主要制作作品は『鹿の王』や『憂国のモリアーティ』など。
『GREAT PRETENDER』などを製作したウットスタジオは売上高12億3500万円。しかし21年5月期は経常損失4億8600万円、当期純損失5億100万円と損失が嵩んだ。純資産も8億6600万円のマイナスと大きい。
シグナル・エムディは映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』などを制作している。売上高15億2200万円。経常利益4500万円、当期純利益は900万円と利益は確保したものの、やはり純資産は2億3900万円のマイナスとなっている。
IGポートは7月9日の決算発表説明会にて、ウィットとシグナルの債務超過状態をすでに明らかにしている。「子会社経営管理プロジェクト」を設けて、今後の管理体制の改善を目指すとしている。
一方、出版子会社のマッグガーデンは、デシタル出版の波に乗り好調だ。売上高は21億3300万円、経常利益4億8500万円、当期純利益3億1000万円。利益面ではプロダクション I.Gと並ぶグループの柱だ。
このほか関係会社としてウェブマンガ管理のリンガ・フランカ、米国法人Production I.G,LLCなどがあるが連結売上高に占める割合が10%以下であるため開示されていない。
また関係会社として出資比率の高い製作委員会がいくつか挙がっている。ここからGreat Pretender製作委員会への出資比率が55.5%、蒼穹のファフナー THE BEYOND製作委員会への出資比率が30%、ヴィンラド・サガ製作委員会への出資比率が26.7%、Vivy -Furorite Eye‘s Song-製作委員会への出資比率が13.3%であることなどが分かる。