2021年4月16日に全国公開の劇場アニメ『名探偵コナン 緋色の弾丸』が、世界の広い地域で日本と同日公開されることになった。公開される国と地域は台湾、香港、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ブルネイ、フランス、ドイツ、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、オマーン、クウェート、バーレーン、カタール、となる。
『名探偵コナン』の人気が高い東アジア・東南アジアと西ヨーロッパ、中近東の主要国をカバーする。米国、中国は含まれていないが、日本映画ではない大規模な同日公開のグローバル配給だ。
2月10日には「Global Opening Movie」と銘打った特報告知も公開された。ここでは日本語の他に英語、中国語、韓国語、ドイツ語の5か国語で主人公・新一/コナンのセリフが入っている。詳細は明らかにされていないが多くの地域で吹替え版での上映となりそうだ。
近年は日本アニメの人気の高まりもあり、世界各国で日本の劇場アニメが上映されることが増えている。2000年代以前の映画配給ビジネスのハードルの高さ、どの国でも本格的な劇場公開がほとんどなかったことに較べると様変わりだ。
『名探偵コナン』シリーズは、なかでもアジアを中心に人気が高い。直近では2019年に『名探偵コナン 紺青の拳』が興行収入で中国本土約37億円、台湾では約12億円と、いずれもシリーズ過去最高になった。
それでも多くの地域ではまだまだファンを充分取り込めていない。グローバルなネットワークで、作品情報が世界同時に広がる一方で、映画公開は日本よりも遅れることも理由だ。ファンの熱気が高まっているなかで作品を供給できない。また日本公開から期間が空くほど、海賊版が登場するリスクも高まり興行成績を引き下げる
アニメはフィルム完成から国内公開まで日が浅く、他言語版制作や海外での配給交渉に時間がないことが同時公開の難しい原因だ。
今回『名探偵コナン 緋色の弾丸』の大規模な世界同日公開は、日本公開が当初の2020年春から21年春に延期されたことも理由にあるだろう。期間が空いたことでじっくりとビジネスを組み立てることが出来たわけである。公開延期は製作者にもファンにも残念であったが、それをチャンスに変えて新しい試みに挑戦する。世界的にハリウッド映画の公開が激減し、映画館での新作は不足気味、『名探偵コナン 緋色の弾丸』が目を惹きそうだ。それだけに成果も期待される。
劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』
http://www.conan-movie.jp