山村浩二監督のVRアニメーション「耳に棲むもの」、原作に小川洋子

耳に棲むもの

 アニメーション作家の山村浩二氏が、新世代のテクノロジーを用いた新しいアニメーション表現に挑戦した。VR映像作品の企画・開発を進める講談社VRラボは、このほど山村浩二監督によるVRアニメーション『耳に棲むもの』(『My Inner Ear Quartet』)が完成したことを明らかにした。
 『耳に棲むもの』の原作は芥川賞作家の小川洋子。孤独な少年と耳に棲む音楽隊との交流、大人になった少年が再び孤独な声たちを拾い集める旅に出るという不思議でファンタステックなストーリーである。山村がそれをVRで表現する。
 完成までに約2年間を要した作品は、長さ約35分、日本語と英語での映像となる。作品は完成したが、まずは国内外の映画祭へのエントリーからスタートする。VR作品だけに視聴手段も選ぶため、今後どこで観る機会があるのかも気になるところだ。

 監督の山村浩二氏は、『頭山』、『幾多の北』といった作品で世界の映画祭を席巻する。世界4大アニメーション映画祭全てでグランプリに輝くなど、日本を代表するアニメーション作家である。繊細な線を手描きで表現したイラストレーションのような映像が持ち味となっている。
 一方で、映像制作をする講談社VRラボは、2017年に出版社大手の講談社と国内有数のCGスタジオであるポリゴン・ピクチュアズが共同して設立した。次世代の映像表現とエンタテイメントの可能性追求する。

 今回は最新のテクノロジーとは、一見すると対極の手描きアニメーションのVR映像というのが注目を浴びそうだ。
 監督の山村氏は本作について「VRも3DCG表現も初挑戦ですが、小川洋子さんと私の世界観を融合させ、360度映像の特性を活かしたVRでしか体験できない新しい映像が誕生しました。時空を超えた記憶と自己の深淵への旅をお楽しみください」とコメントする。VRの可能性を知る作品になりそうだ。

『耳に棲むもの』 (『My Inner Ear Quartet』)
監督:山村浩二
原作:小川洋子
脚本:小川洋子・山村浩二
プロデューサー:石丸健二
CGディレクター:Gee Yeung
音楽 : 上野耕路
音響監督:太田昌孝

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