バンダイナムコ年間売上高1兆円へ、長期で海外売上比率50%を目指す

ファイナンス決算

 バンダイナムコホールディングス(バンダイナムコHD)の事業規模の拡大が止まらない。2023年3月期の連結売上高は前年比11.3%増の9900億円と1兆円の大台目前となった。もともと22年5月に公表した業績予想では8800億円だったが、同年11月、23年3月と2度にわたり上方修正し9500億円としていた。最終的にはその数字も上回った。
 ゲーム関連の開発・制作中タイトルの一部で約130億円の評価損失、トイホビーの在庫処分損失などを計上したことから利益面では微減になったが、デジタル(ゲーム・ネットワーク)、トイホビー、IPプロデュース(アニメ・映像・音楽)、アミューズメントの全部門が前年比増だ。
 ゲームでは『ELDEN RING』、トイホビーでは「ガンダム」シリーズ、映像・音楽では「ガンダム」シリーズ、「ラブライブ!」シリーズ、『転生したらスライムだった件』、『ブルーロック』などが牽引した。

 2005年のバンダイとナムコの経営統合時の売上高は約4600億円だったから、20年足らずで2倍規模まで成長したことになる。日本の上場企業の売上高ランキングでは、国内4000社近いなかで150位前後、時価総額2兆1730億円(2023年5月27日現在)は79位と日本を代表する巨大企業である。
 事業規模の成長は今後も続きそうだ。2024年3月期の業績予想では、通期連結売上高で前期比1%増の1兆円を見通す。ヒット作の有無に左右されやすいエンタテインメントとの特性から慎重な業績予想が多いバンダイナムコHDだが、今期は敢えて1兆円を掲げることで成長のドライバーにする狙いもありそうだ。

 成長を目指すなかで今後重視されそうなのが、海外事業展開である。国内総人口が減少に向かうなかで大きな成長を目指すのであれば、海外マーケットが重要になる。
 バンダイナムコHDは中期経営計画で2024年度(25年3月期)までに海外売上高比率を35%まで引き上げるとしている。さらに長期的には売上高の50%以上を海外からにすることを目指す。
 現状は前期(23年3月期)で海外売上比率は28.5%。ただし同社によればこれは海外子会社の売上合計で、日本から直接海外販売したものは含まれない。仕向地ベース(マーケットベース)では、海外売上高比率は現在でも40%を超えているという。
 すでにバンダイナムコHDのビジネスはかなりグローバル化しており、海外からの影響も相当強くなっている。近年の海外ゲーム・アニメーション市場は、成長を続けている。こうした潮流にのることで、巨大エンタテイメント企業のグローバル化は、今後も進みそうだ。

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