アニメ製作大手のIGポートの業績が好調だ。1月12日に発表された2018年5月期第2四半期決算で、売上高45億4200万円と前年同期比で67.5%の高い伸びとなった。売上増加に合わせて利益面でも、営業利益2億8200万円(30.6%増)、経常利益3億3600万円(58.9%増)、当期純利益1億3900万円と高い伸びをみせている。
業績を牽引しているのは版権事業である。売上高は7億700万円の40.5%増、営業利益も3億600万円の84.1%増と急伸している。
なかでも自社グループで過半数の製作出資した『魔法使いの嫁』が、海外販売を中心に好調だった。アニメーション制作にとどまらず、自ら作品の各種権利を保有する戦略がうまくまわった。『魔法使いの嫁』は自社グループのマッグガーデンが原作マンガを刊行しているが、こちらも売れ行きが好調である。
このほか版権事業では、「黒子のバスケ」シリーズ、「進撃の巨人」シリーズ、「宇宙戦艦ヤマト」シリーズ、「ハイキュー!!」シリーズなどから二次利用の配分収入があった。
出版事業も引き続き堅調だ。『魔法使いの嫁』に加えて、小西幹久が描く異能バトルストーリー『リィンカーネーションの花弁』の販売好調だったとしている。今後のメディア展開にも期待がかかりそうだ。
事業部門の売上高は10億1300万円(13.0%増)、営業利益は2億9400万円(19.2%増)。二桁の増収増益になる。
一方で映像制作事業は厳しさが続いている。期中は、実写映画『亜人』、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』、テレビアニメ『ボールルームへようこそ』、『魔法陣グルグル』、『フューチャーカード バディファイト×(バッツ)』、『ネト充のススメ』といった話題作が多く、売上高は26億8600万円と前年同期の2.4倍にまで拡大した。しかし営業損失も前年同期の1億8800万円から2億4600万円に拡大した。売上の伸びが利益につながっていない。
作品のクオリティ重視、また制作現場の環境改善などで、アニメーション制作のコストが拡大している可能性が高そうだ。期中はクオリティを重視した一部作品では、交渉により制作費を増加させたとしている。
今後もこうした交渉を継続する一方で、作品のクオリティを上げることで版権収入を増やす、アニメーション制作と版権事業を組み合わせることで全体として利益をだすかたちが続きそうだ。