東宝がアニメーション制作会社の運営に本格的に進出する。2022年9月16日付でアニメ制作会社のTIA 株式会社を子会社化したと発表した。また9月17日付でTIAの商号を株式会社 TOHO animation STUDIOに変更した。社名に「TOHO」を加えることで、グループ会社であることを明確にする狙いがありそうだ。
代表取締役社長は東宝の常務執行役員で映像本部映像事業とデジタル・コンテンツを担当する大田圭二氏が就任。イルカ代表取締役の岩﨑拓⽮氏ほか、藤⽥良⼀氏、大島孝幸氏、⼭中⼀孝氏、⼩早川靖典氏、吉澤隆氏らが取締役に並ぶ。9月16日には、TOHO animation STUDIOとして公式サイトもリニューアルオープンしている。
TIAは2017年にCGアニメを得意とするイルカとアニマの2社による共同出資会社I&Aとして設立、2019年にTIAに社名変更した。2020年には若手クリエイター育成、共同企画開発などを目的に東宝と資本業務提携を結んでいる。東宝作品ではこれまで『100日間生きたワニ』を制作している。
この時点での持株比率は東宝34.8%、イルカとアニマが各32.6%だった。今回東宝はこのうちアニマの持分を追加取得、持株比率は67.4%と全体の2/3以上に上昇する。東宝はクリエイターの育成、オリジナルコンテンツの企画・開発、映像制作の機能をより強化するとしている。
東宝は製作・配給・興行などを手がける国内最大手の映画会社。近年は勢いのあるアニメにも積極的だ。10年前、2012年にはTOHO animationを設立、映画だけでなくテレビシリーズ、そしてアニメ製作への進出・強化をしてきた。現在は国内有数のアニメビジネスのプレイヤーのひとつとなっている。
しかし東映の東映アニメーション、バンダイナムコグループのサンライズ、アニプレックスのA-1 Picturesといったようなグループ内にアニメーション制作機能は持ってこなかった。今回は新社名に「TOHO animation」の名前を冠したこともあり、TOHO animationとのビジネス連動が強まりそうだ。
東宝は今年4月に発表した中期経営計画でアニメを事業の第4の柱にすると表明している。今回の動きもそうしたアニメ強化のひとつと言える。
TOHO animation STUDIO
https://www.tia-studios.co.jp/