好調テレビ東京HD 利益牽引「アニメ・配信」売上は年間440億円

ファイナンス決算

■アニメ事業23%増、配信事業22%増

 2023年5月11日に発表された23年3月期通期連結決算で、テレビ東京ホールディングスは売上高、利益で過去最高を更新した。
 連結売上高は1509億6300万円(2.0%増)と初めて1500億円を超え、営業利益は92億2900万円(7.5%増)、経常利益は93億7800万円(2.4%増)、当期純利益は67億2400万円(11.6%増)だった。放送事業が堅調だったところに、アニメと配信の伸びが大きく業績を牽引した。

 アニメ事業と配信事業は、地上波放送事業の中のライツ事業に区分され、さらにそのサブカテゴリーとしている。しかし事業規模は大きい。
 アニメ事業は売上高で221億9600万円、前年比23%増である。『SPY×FAMILY』が国内外で、『BLEACH』の新シリーズが中国や欧米の配信向けに好調。『遊戯王』シリーズのSNSゲームは各国で、欧米では『NARUTO』などの商品化が売上を伸ばした。
 テレビ東京のアニメ事業の特徴は、海外売上比率の高さだ。国内売上も40億円と前期比で14.6%増と二桁成長だが、海外事業は181億9500万円(25.1%増)とさらに大きな伸びだった。この結果、売上の82%を海外で占めた。また売上高、粗利益の上位タイトルには、海外で人気の高い『NARUTO』、『BORUTO』、『遊戯王』、『BLEACH』、『ポケットモンスター』が並ぶ。

 配信事業も22.1%増の104億2100万円と高い伸びを見せたが、こちらは国内の動画配信がむしろ中心である。その売上は75億1200万円(25.1%増)で事業全体の72%を占めた。
 海外は4億9400万円、伸びは21.7%と高い。売上への貢献作品は『君に届け』、『ヒヤマケンタロウの妊娠』など。

■24年3月期より事業区分を大きく変更、新たに「アニメ・配信事業」も

 またテレビ東京HDは、2023年-25年を目途とした中期経営計画を策定した。計画では現在の年間1510億円の売上げを、26年3月期まで3年間で1700億円まで伸ばす。当期純利益は67億2000万円から82億円とする。
 さらに中期経営計画に合わせて、今期(24年3月期)からテレビ東京HDは収益における事業区分を大きく組み替える。これまではテレビ東京を中心とした「地上波放送事業」、BSテレビ東京の「BS放送事業」、さらに配信プラットフォームやCS放送、ショッピングの「放送周辺事業」と放送局別に区分していた。
 新しい区分では局を超えて、「地上波・BS放送事業」、「アニメ・配信事業」、「ショッピング事業」の3つの事業区分になる。テレビ東京の事業が、「放送」と「ライツ」で別々に認識されることになる。またこれまでアニメ事業から切り離されていたアニメ専門放送のエー・ティー・エックス(AT-X)が、「アニメ・配信事業」へまとめられる。「アニメ・配信事業」には、このほかテレビ東京ミュージック、テレビ東京コミュニケーションズを含む。

 新しいセグメントで23年3月期の事業別収益を計算すると、アニメ・配信事業の売上は440億7400万円となる。売上ではグループ全体の約3割だ。一方で営業利益は53億1700万円と、こちらは全体の6割近く。利益面でのアニメ・配信の貢献が際立つ。
 24年3月期もアニメ・配信事業への期待は大きい。売上高はでは471億2200万円(6.9%増)、営業利益では41億7500万円(7.7%増)を予想する。テレビ東京HD全体では売上高1570億円、営業利益95億円、当期純利益71億円と、さらなる史上最高の更新を目指す。

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