日本と中東のアニメを通じてビジネスのつながりが、2018年以降にさらに強まりそうだ。東映アニメーションとサウジアラビアのコンテンツ企業のマンガプロダクションズは、1月22日に長編劇場アニメの企画を進めていることを明らかにした。
作品の構想は日本側とサウジアラビア側で構想を練っている段階だが、すでに監督には静野孔文氏、脚本には富岡淳広氏といったヒットメーカーの起用が決まっている。ストーリーが具体化した段階で、サウジアラビアでのロケハンに入る。
東映アニメーションとマンガプロダクションズのつながりは、2017年秋に発表された短編テレビアニメ『キコリと宝物』がスタートとなっている。これまでに日本のアニメビジネスではつながりの薄かった中東の大国との共同事業が大きな驚きを与えた。
これはサウジアラビアの首都・リヤドで開催された「ミスク・グローバル・フォーラム」にて、東映アニメーションとマンガプロダクションズが共同制作の提携事業を結んだ第1弾であった。その際により大きなプロジェクトも進めるとしていたが、今回の企画が第2弾となる。
サウジアラビアは中東一の大国だが、イスラムの戒律が厳しい国としても知られている。このため日本の多くのアニメはそのまま持ち込むのは難しいとされている。そこで日本の技術を活かした作品を製作することでこの壁を乗り越える。
また石油資源への依存が高いサウジアラビアは、現在、産業の多角化を急激に進めている。そのひとつがコンテンツ産業である。2018年3月には35年間禁止されてきた国内の映画館運営・上映禁止が解禁されるなど、それに伴う変化も始まっている。東映アニメとの作品は、キラーコンテンツとの位置づけになりそうだ。
劇場版「名探偵コナン」シリーズや、『シドニアの騎士』といったヒット作のある静野孔文監督の起用にも、作品への意気込みが感じられる。静野監督は中国との共同制作のテレビアニメシリーズ『侍霊演武:将星乱』の総監督を務めており、国際的な仕事が増えている。
脚本の富岡淳広氏は、多くの「ポケモン」シリーズのシリーズ構成・脚本を務めるほか、『イナズマイレブン』などヒット作を多く手掛ける。こちらもビッグネームだ。
完成時期などはまだ明らかにされていないが、日本とアラブによる新たな取り組みとして今後の展開に期待がかかる。