「スター・ウォーズ:ビジョンズ」続編に アードマン、カートゥーン・サルーン、スタジオミールなど参加

スター・ウォーズ:ビジョンズ2(Star Wars: Visions Volume 2

 2021年9月に映像プラットフォーム「ディズニープラス」のキラータイトルとして投入され、世界的な話題を呼んだ『スター・ウォーズ:ビジョンズ(Star Wars: Visions)』の続編が登場する。2023年2月2日にスター・ウォーズの公式サイト「StarWars.com」などが、「スター・ウォーズ:ビジョンズ2(Star Wars: Visions Volume 2)」の製作と2023年5月4日からの配信スタートを発表した。
 作品はスター・ウォーズシリーズの世界観に基づいた9つの短編から構成される。9つの作品は世界各国の異なるスタジオが制作、まるで様々なアニメーション表現のショウケースのようなかたちだ。

 もともと『スター・ウォーズ:ビジョンズ』は、日本アニメスタイルでスター・ウォーズの世界観を映像表現したらどうなるか、そんなアイディアから始まっている。第1弾では神風動画、スタジオコロリド、ジェノスタジオ、トリガー、キネマシトラス、プロダクションI.G、サイエンスSARUと個性溢れる7つのスタジオが9本の短編を制作した。
 時代劇のようなビジュアルから可愛いキャラクターなど、いかにもアニメ的なビジュアルが見事にスター・ウォーズの世界に落とし込まれたことが話題を呼び、人気となった。またアニー賞にもノミネートされるなど評価も高い。

 第2弾でもこれまでの常識を超えた映像とアイディアが飛び出しそうだ。しかし今回は、担当するスタジオが日本から世界中に広がったことが特徴になっている。さらに新興スタジオだけでなく、あっと驚く名門スタジオも参加する。
 『I Am Your Mother』はイギリスの名門アードマンによる作品だ。『ウォレスとグルミット』や『羊のショーン』のようなストップモーションの技術が使われそうだ。
 『Screecher’s Reach』は『ウルフウォーカー』や『生きのびるために』など卓越した技術で、ポストスタジオジブリとも言われるアイルランドのカートゥーン・サルーンだ。ファミリータイトルが多いスタジオだけに意外な選択だ。
 さらに『Journey to the Dark Head』の韓国スタジオミールは、日米向けに2Dアニメスタイルの作品で多くの実績を築いてきた。近年は独自の制作作品にも積極的で、Netflixとは韓国のアニメスタジオとして唯一つパートナーシップを提携している。『ウィッチャー 狼の悪夢』や『外見至上主義』といった人気作品がある。今回はさらにディズニープラスともビジネスを取り組むことになる。

 日本のスタジオもある。ただしこれも従来のアニメ的な取り組みからは異なったユニークなアプローチになっている。東京・西新宿にあるD’ART Shtajioがルーカス・フィルムと共に『The Pit』という作品を制作する。
D’ART Shtajioは2016年に米国出身のArthell と Darnellの Isom兄弟が設立したスタジオだ。日本での制作経験も深い彼らを中心に、日本国内で東西カルチャーの融合する作品を作り続けている。
 このほかスペインのEl Guiri、チリのPunkrobot、シンガポールの88 Pictures、南アフリカのTriggerfishとまさに世界の隅々まで。同時にこうしたスタジオは日本が開拓した大人が楽しめるアニメーションに積極的に進出しており、ジャンルそのものを広げている。今後日本の手強いライバルになりそうだ。
 そうしたスタジオに目をつけるのが、アニメーションの老舗ディズニーであることも面白い。様々な意味で注目の作品と言えそうだ。

「スター・ウォーズ:ビジョンズ2(Star Wars: Visions Volume 2)」
エピソードタイトルと制作スタジオ・監督

・『Sith』 (El Guiri)
脚本・監督: Rodrigo Blaas
・『Screecher’s Reach』 (カートゥーン・サルーン)
監督: Paul Young
・『In the Stars』 (Punkrobot)
脚本・監督: Gabriel Osorio
・『I Am Your Mother』 (アードマン)
監督: Magdalena Osinska
・『Journey to the Dark Head』 (スタジオミール)
監督: ハン・グァンイル
・『The Spy Dancer』 (Studio La Cachette)
脚本・監督: Julien Chheng
・『The Bandits of Golak』 (88 Pictures)
監督: Ishan Shukla
・『The Pit』 (D’art Shtajio /ルーカスフィルム)
脚本・監督・エグゼクティブプロデューサー: LeAndre Thomas
共同監督: Justin Ridge
・『Aau’s Song』 (Triggerfish)
脚本・監督: Nadia Darries/Daniel Clarke 

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