映画大手の東宝が、グローバルに向けたアニメーション・キャラクタービジネスの拡大に乗り出す。2023年1月5日、東宝の米国現地法人TOHO INTERNATIONAL, INC.(国際東宝)は、米国のアニメーション制作大手Frederator Networksから同社保有作品の著作権の一部を取得することで合意したことを明らかにした。
Frederatorは1997年に設立され、数多くのアニメーションを制作してきた。特に配信作品を得意とする。そのなかから『ビーとパピーキャット (Bee and Puppycat)』、『ブレイベスト・ウォリアーズ(BravestWarriors)』(一部シリーズを除く)、さらに現在開発中の『キャットバグ(Catbug)』の3作品の著作権の50%を国際東宝が取得する。
『ビーとパピーキャット』はYouTubeでショート作品が人気になった後に、Netflixでシリーズ化された。20 代の派遣社員ビーと謎の仲間パピーキャットが家賃を稼ぐためファンタジックな宇宙冒険を繰り広げる。『ブレイベスト・ウォリアーズ』は、遠い未来の宇宙が舞台。4 人の少年少女が雇われヒーロとなって世界を救う。
著作権取得の目的は、各作品シリーズの日本を含むアジア地域での展開になる。映像作品だけでなく、商品化ライセンスも手がけるなど幅広い展開を目指す。さらにこれらの作品に基づいた新作映像の共同製作を行うとしている。Frederatoとの世界に向けたコンテンツの企画・製作も視野に入れる。
これまでの東宝のアニメビジネスは国内作品の海外輸出が中心であったが、逆に海外作品を日本、そしてアジアに広げることになる。新しい方向性が打ち出されたかたちだ。
新たなビジネス展開は2022 年 4 月に発表した「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」の一環でもある。成長戦略のキーワードである「企画&IP」「海外」についての取り組みになる。
すでに確立した作品のグローバルな作品の著作権取得をすることで、海外での直接的なビジネスの成長を目指す。これまでドメステックと見られてきた国内映画会社も国際化を視野にいれた時代に入っていると言えそうだ。