KADOKAWAの連結子会社フロム・ソフトウェアが、大型資金調達に踏み切った。2022年8月31日付で第三者割当増資の実施を決定、中国のIT企業テンセント系投資会社のSixjoy Hong Kongと大手ゲーム会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントがこれを引き受ける。フロム・ソフトウェアの調達資金額は約364億円になる。
フロム・ソフトウェアは現在KADOKAWAが100%株式を保有する完全子会社だが、割当増資後はKADOKAWAの持株比率は69.66%に下がる。Sixjoy Hong Kongが16.25%、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが14.09%になる。フロム・ソフトウェアは今年2月に世界的な大ヒットになった『ELDEN RING』をリリースしている。企業価値があがっているタイミングで、多くの資金を調達できる第三者割当増資を決定したとみられる。
フロム・ソフトウェアは1986年に設立し、ゲームの開発力に定評がある。『ELDEN RING』ぼほかにも『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』や「DARK SOULS」シリーズなどの評価の高いゲームを創り出している。
今回の到達資金は、ゲーム開発投資・開発・展開力に向ける。また利益率の高い自社パブリッシングの強化と体制構築をする。また世界市場でのメディアミックス戦略も拡大するとしている。KADOKAWAグループが目指す事業ポートフォリオにおけるIP創出・育成の一翼を担う。
テンセントグループは、中国のIT大手でなかでもソーシャルメディアやゲーム事業を得意とする。KADOKAWAとは2016年に広州天聞角川動漫有限公司に資本参加して以来、中国地域での共同事業を中心に協業を続けている。2021年10月には、KADOKAWAはSixjoyとTencent Japan合同会社とアニメ・ゲーム分野における業務提携を締結している。SixjoyはKADOKAWAに出資しており、同社の大株主のひとつにもなっている。
ソニーグループもKADOKAWAの大株主の1社である。2021年2月に、長期的な関係強化とアニメ・ゲーム分野での協力を目的に第三者割当増資を実施し、50億円を出資、約2%の株式を取得した。ソニー・インタラクティブエンタテインメントはプレイステーションなどのゲームハードウェアの大手で、ゲーム事業で大きなネットワークを持つ。今回の出資はさらにゲーム事業にフォーカスすることで両社のつながりを強くするものになる。