KADOKAWA第2Q増収増益 アニメ好調20%増で利益貢献も

ファイナンス決算

 KADOKAWAの2023年3月期第2四半期の決算が2022年11月2日に発表された。第2四半期に続き増収増益で好調を維持している。連結売上高は1226億3900万円(17.0%増)、営業利益は132億3700万円(33.2%増)、経常利益は168億9700万円(59.3%増)、当期純利益は105億3700万円(48.1%増)。
 業績を牽引するのは引き続きゲーム事業である。大ヒット作「ELDEN RING」の海外向けの収益が大きかった。売上高171億3700万円は前年同期の約3.5倍、営業利益75億9200万円は約12倍にもなる。
 
 主力の出版事業は売上高661億4200万円(1.6%増)、営業利益57億3200万円(前年同期比38.9%減)と伸び悩んだ。デジタル書籍は伸びたものの紙書籍が小幅減少となった。ただし海外については北米子会社のYENPRESSの翻訳出版による紙書籍の販売が増加している。
 一方でタテスクロールのコミックや人材投資を増やしたことでコストが増している。また資材や印刷費の増加、海外の物流費の増加など、昨今のインフレや為替の影響も現れている。利益減少の理由のひとつだ。

 映像部門は売上高が189億5300万円と16.7%増となったが、こちらも営業利益は6億円と前年同期比94.1%減、大幅な減少となった。
 売上高は特に新作本数が増加しているアニメ事業の伸びが約20%増と大きい。新作に加えて『オーバーロードⅣ』や『盾の勇者の成り上がり』といった人気作から配信売上や海外向け売上が発生している。営業利益の減少は実写映画で10億円台半ばの評価損が発生したのが大きかった。利益面でもアニメの海外向け、国内配信向けの好調が全体をカバーした。

 WEBサービスはニコニコ関連事業が中心だ。広告や動画サービスの「ギフト」などの収益多角化の効果もあり、売上高は前年同期比で増加している。
 しかしプレミアム会員の減少が続いていること、また『ニコニコ超会議2022』の開催費用増加により営業利益は減少した。売上高は115億4800万円(5.3%増)、営業利益は9億4200万円(24.7%減)である。

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る