2022年1月21日に発売され、世界的な大ヒットとなったRPG『ELDEN RING(エルデンリング)』が、KADOKAWAの業績を大きく引き上げている。2022年7月29日に発表された同社の2023年3月期第1四半期の業績は、『ELDEN RING』の海外向販売収入があったゲームを中心に躍進した。
連結売上高は642億6400万円と前年同期比23.5%増。利益面での伸びはさらに大きく営業利益96億2200万円(63.9%増)、経常利益122億8900万円(100%増)、当期純利益76億3800万円(89.8%増)となった。
ゲーム事業だけに限ると伸びはさらに際立つ。売上高125億8200万円は前年同期の6.7倍、営業利益営業損失から65億6900万円の利益に転じた。第2四半期以降は、『ELDEN RING』の価値を最大化すべく、メディアミックスなどの展開を計画するという。
このほか期間中にスパイク・チュンソフトで2本の新作タイトルがあった。スパイク・チュンソフトは『メイドインアビス 闇を目指した連星』のリリースを予定しており、今後もアニメ発の作品のゲーム化を推進する。
出版部門は伸び悩んだ。売上高319億5300万円は前年並み、営業利益は25億7100万円と52.3%減となった。国内の紙出版が厳しかったことが大きな理由だ。
一方で海外事業は成長を続けている。特に北米の翻訳出版子会社YEN PRESSが高成長だった。出版部門の期間中の海外売上高は、48億6700万円で64%増、出版部門に占める売上げ比率は9.2%から15.2%に上昇している。
電子書籍も引き続き成長しており、売上げは前年比15%となった。国内自社ストアの売上げが14%増だったほか、海外自社ストアの伸びは44%増と、ここでも海外の勢いが目立った。
映像事業は、売上高は92億5600万円(4.0%増)、営業利益6億8000万円(34.5%減)の増収減益。主要タイトルは『勇者、辞めます』、『盾の勇者の成り上がり』などのアニメ、実写映画では『とんび』が好調だった。
アニメ新作が前年同期の11本から14本に増えたことから、アニメの海外向け売上げが16%増加、国内向けでは配信作品が伸びた。ただし新作本数が増えたことで償却費と広告宣伝費も増加しており、利益を引き下げた。
動画配信「ニコニコ」などを中心にするWebサービス事業では、売上げは57億2600万円(6.5%増)となった。ニコニコのプレミア会員の減少は続くが、動画再生時のアイテム販売「ギフト」や広告が増収につながり増収で、ビジネスモデルの組替わりが進んでいる。
営業利益は3億6900万円と38.3%減となった。9万6000人が来場した「ニコニコ超会議2022」が話題となったが、経費の増加が大きく減益につながった。第2四半期以降は、夏開催の「Animelo Summer Live」の業績貢献が期待される。