KADOKAWA通期決算 アニメ・映像は過去最高業績、配信・ライセンスが好調

KADOKAWA

 エンタテイメント大手のKADOKAWAは、5月9日に2024年3月期の決算を発表した。通期連結売上は2581億900万円(1.0%増)とほぼ前年並み。営業利益、経常利益、当期純利益はそれぞれ28.8%減(184億5400万円)、24.1%減(202億360万円)、10.2%減(113億8400万円)と、いずれも二桁減少で冴えない数字となった。
 これらはゲーム事業の落ち込みによるところが大きい。前年は『ELDEN RING』の大ヒットが業績を牽引していたが、これがなっくなった反動が大きくでた。ゲーム事業の売上高は253億5100万円(16.5%減)、営業利益は79億5000万円(44.1%減)である。

 一方で企画・製作、制作の積極的な強化を進めるアニメ・実写映像事業は好調だった。売上高は460億6000万円(6.4%増)、営業利益は45億7400万円(10.9%増)だ。3年前の2021年3月期と比較すると売上高で1.5倍、営業利益で2倍の水準だ。利益面は制作スタジオも増益に貢献したとしている。また全体の3割弱130億円が海外からの売上げになる。
 好調の要因は、アニメ『【推しの子】』や『陰の実力者になりたくて!』などの人気作品の国内・海外の配信、ゲーム・グッズ向けのライセンス収入が好調だ。実写でも『わたしの幸せな結婚』がヒットになった。
 アニメ・実写映像事業部門の売上高460億円のうち、アニメ部門は7割を占めている。KADOKAWAのアニメ事業売上は320億円あまりである。

 アニメ事業の好調の背景は、KADOKAWAが近年特に同事業に注力していることの成果がでているとも言える。2024年3月期にKADOKAWAが関わった新作は57本(シリーズ49本・劇場映画8本)。前年の63本からは減ったが高止まりしている。
 ヒット作をより大きくすることにも力をいれており、ひとつのタイトルを海外とマスマーケットに広げることで、大型化・長寿化する戦略を進める。『【推しの子】』は一タイトルだけで、24年3月期に30億円以上のライセンス売上があった。
 また制作スタジオを拡大しており、25年3月期までに3社体制から5社体制に広げる。各スタジオはAI活用や共通システム導入することで、グループ一体で生産性向上を目指すとしている。

 アニメは、今後も強気の姿勢だ。2025年3月期はアニメ・実写映像は売上高452億円(1.9%減)、営業利益41億円(10.4%減)と減収減益を見通すものの、アニメ単独に限れば増収増益予定としている。新作本数の増加と、強力なラインナップが並ぶことが理由だ。
 25年3月期の主要タイトルは『【推しの子】』のほか『Re:ゼロから始める異世界生活』、『この素晴らしい世界に祝福を!』、『劇場版『オーバーロード』聖王国編』、『トリリオンゲーム』などを展開する予定だ。また減収減益を予想する実写でも大型タイトルにもチャレンジし、映像事業全体の成長を目指す。

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