エンタテイメント大手のKADOKAWAが、2022年3月期の連結決算で売上高、利益で過去最高となった。出版事業で電子書籍、海外事業が好調だったのに加えて、ゲーム事業での『ELDEN RING』の世界的なヒットが業績を引き上げた。
連結売上高が2212億800万円(5.4%増)のほか、営業利益は185億1900万円(35.9%増)、経常利益は202億1300万円(40.7%増)、当期純利益は140億7800万円(46.9%増)である。
映像事業は売上高331億1200万円。前年比5.7%増で配信事業やスタジオ事業の伸びで増収となった。しかしビデオパッケージ市場縮小による売上減少、アニメ事業での中国規制対応によるスケジュール変更による下振れで海外売上や権利許諾収入が減少したこともあり、営業利益は前年比41%減の13億4100万円と厳しかった。期間中の主要タイトルはアニメが『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』『盾の勇者の成り上がり』、実写映画では『ヤクザと家族 The Family』『ファーストラヴ』など。
23年3月期はアニメ放送作品数が大幅に増加することもあり、海外事業や権利許諾の拡大を見込む。KADOKAWAと角川大映の制作機能の統合効果による実写映像の創出でも成果を期待する。
出版事業の売上高は1329億7200万円(2.6%増)、営業利益は173億7000万円(35.3%増)だ。紙出版で海外市場の伸びが大きく、北米でマンガ・ラノベの翻訳出版を手がけるYenPressの売上げは前期の2.3倍に達した。さらにアジア・欧州を加えた全世界では75%増となった。
電子書籍の成長も大きかった前年と比較出来る旧基準では18.2%増となる。BOOK☆WALKERの課金ユーザー数が増加。また海外向けでも英語圏向けの「BOOK☆WALKER Global」と「台湾ブックウォーカー」で、課金ユーザー数が53%増加している。
ゲーム事業は大きく伸びている。売上高194億9000万円は17.2%増、営業利益は前期の27億4400万円から52億円に増加した。2022年2月25日に発売の『ELDEN RING』のヒットが貢献した。3月の段階で全世界累計出荷本数は1340万本を超えている。
ただし旧作の国内リピート販売、共同・受託開発事業は共に減少しており、決して明るい材料ばかりでない。23年3月期も『ELDEN RING』の海外向け出荷の利益が反映されるが、進行中の開発タイトルの正否が長期的には鍵になる。
ウェブサービス事業は引き続きプレミア会員の減少が続き減収減益である。売上高は213億4200万円(3.0%減)、営業利益は20億1300万円(3.9%減)だった。今後は収益の多角化をさらに推進する。
教育事業は引き続き増収で222億8300万円の27.6%増の売上げになったが、赤字が続いている。幅は小さなくなったものの41億8400万円の損失を計上している。
またKADKAWA全体での海外売上高は288億7400万円、前年の216億8100万円より 33%増。北米が全体の過半数となる52.7%、アジアが37.8%と2大市場になっている。なかでも出版の成長が早く、売上高は163億7600万円にもなる。