クランチロール、フランス語吹き替えを強化で現地スタジオ開設

Crunchyroll Production France Studio

 日本アニメの海外配信大手のクランチロールが、多言語配信の強化に取り組んでいる。もともと字幕翻訳の複数言語でのサービス提供で定評があったが、あらたに吹替え版でも多言語展開を活発化させるようだ。
 クランチロールは2022年夏に、フランス北部のトゥールコワン市にアニメの吹替え制作スタジオCrunchyroll Production Franceを開設したことを明らかにした。スタジオでは日本語からフランスへの翻訳、音声制作の豊富なチームを活用することで、1話の収録をおよそ1週間以内とこれまでより短期間で仕上げる。日本の放送から時間を空けることなく、フランス語吹き替えでファンに番組を提供する。
 クランチロールではすでに『王様ランキング』、『SPY×FAMILY』、「かぐや様は告らせたい」シリーズなど70作品以上、1000話以上をフランス語吹き替えで配信している。新スタジオの設立で、フランス語翻訳版の作品数も強化されそうだ。

 海外ではオリジナルの持ち味を重視することで、日本語音声で字幕翻訳版を好む熱心なアニメファンが多いとされてきた。しかしユーザー層が広がり、米国のファニメーションなどと経営統合することで、近年は吹替え版を好む視聴者も増えているという。
 またフランスではテレビや映画では、吹き替え版が広く親しまれている。国民の3人に1人は吹き替え版でなければ番組は見ないと言われている。こうしたことから吹き替え版を用意することで、さらにアニメ視聴の拡大を目指す。吹替え版では日本語によるオリジナル版の内容を尊重し、名前の発音、演技にも特に注意を払うという。

 クランチロールは米国発のアニメ配信プラットフォームだが、22年3月に別の配信サービスをするファニメーションと経営統合している。またアニメプレックス傘下フランスの配信会社ワカニムもグループに加えるなど、ファンアへのリーチが拡大している。スタジオが置かれるトゥールコワン市は、ワカニムの拠点でもある。
 吹替え需要はフランス語だけでなく、英語、そしてさらに多くの地域・言語で高まっているとみられる。今後はさらなる言語で、こうした試みが期待出来そうだ。

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