日本アニメの人気や認知度が海外に広がるなかで、海外企業の日本アニメ進出も相変わらず続いている。2023年3月25日から26日まで東京ビッグサイトで開催された「AnimeJapan 2023」では、Netflixやディズニープラスなど積極的な外資系企業の姿も見られた。
そのなかで注目を浴びたのが立ち上がったばかりの新たなブランド「ANICI (アニシー)」だ。東2ホールの入って直ぐに設けられたブースでは、カプセルタワーを使った企画限定グッズプレゼントなどでファンの賑わいを見せた。
『機動警察パトレイバー』や『絆のアリル』、『HIGH CARD』、『大雪海のカイナ』、さらに『PLUTO』なども紹介する。多彩な作品が並ぶ。
作品だけでは分かり難いが、ANICIは中国の大手ゲーム企業ネットイースゲームズのプロジェクトである。2020年にネットイースゲームズが東京で設立した株式会社NICIが、このほどANICIブランドを立ち上げたのだ。
NICIは「アニメ産業を応援したい」を創業と共に打ち出した。「創造性あふれるストーリー」、「誰からも愛されるキャラクター」、「世界で称賛される優良なコンテンツ」と核にしてパートナーと共に作品を世界に届け、ゲームとのコラボレーションなどの可能性も深化、拡大を目指すという。さらにANICIでは「その感動、10年後も」をテーマにする。
2010年代以降、中国から日本アニメの投資は少なくなかった。一方でその多くは、急速に市場拡大した動画配信の配信権の獲得や、中国国内向けのアニメ製作、そのためのスタジオ買収・設立などであった。
しかしANICIでは、これまで顕著であった「配信」は強く打ち出されていない。一方で「IP」や「10年後」といった、投資ファンドのような長期的な視点や日本アニメ産業全体への関わりといった方向性が垣間見える。新しい動きであると共に、中国そして世界の新しい日本アニメとの付き合い方として、今後が注目される。