配信で存在感を示す日本アニメ (フランスCNCのレポートから その2) 


豊永真美

フランスで日本のアニメの存在感が増しているのが配信の世界である。CNCのレポートから日本アニメの状況を紹介する。

■日本アニメ鑑賞は配信が中心

CNCでは直近2年のレポートで、作品ごとに実際に見られた配信時間を推計し、発表している。日本ではなかなか類似のレポートがない中、貴重な資料となっている。
2023年、2024年の結果を紹介する。
直近の2024年のアニメ視聴のランキングをみると、日本の作品で上位に入っているのは3作品で、いずれもマンガが人気で、息の長い作品である。マンガの売れ行きも良い作品だ。

それでは、マンガの人気のある作品だけが見られているのか。2023年の調査結果を見ると、実はより広い作品に可能性があることがわかる。2023年には「鬼滅の刃」のほか、「ヴィンランド・サガ」、「範馬刃牙」などより広い作品が見られている。表には出ていないが、2024年も15-24歳の若い層に限ると、「範馬刃牙」が4位、「ヴィンランド・サガ」が6位、「東京喰種トーキョーグール」が9位となっている。

■2024年は日本アニメの提供が大幅に増加

ただし、2024年のランキングで日本アニメのタイトルが減少した背景には、視聴時間に占める日本アニメのシェアが減少しているということもあるようだ。2024年12月末での配信タイトル数を国籍別で見ると、「その他」の割合が45.9%と半数近くなっている。このその他の大半が日本アニメ(39.2%)と、日本アニメの配信数は大幅に増加している模様だ。

一方、視聴時間を見ると、日本アニメのシェアはむしろ低下している。タイトルの数が多い中で、一つ一つのアニメをしっかり見てもらうような工夫が今後は必要かもしれない。

フランスCNCのレポートから その1 「50歳以上の観客が6割 新たな観客層を切り開いたアニメ「神様の貨物」」に戻る

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