2021年2月3日に発表されたソニーの第3四半期決算は、年間で過去最高の利益を見通すなど好調ぶりが際立った。ソニー全体のなかで近年はエンタテイメント部門の重要性が増しているが、日本アニメ関連事業も好調だった。
グループのなかで日本アニメ関連事業は手がけるのはアニプレックスとその関連会社にあたる。アニプレックス本体ほか、アニメーション制作社A-1 Pictures、CloverWorks、CGアニメのBoundary、ゲーム開発のQuatro A、映像企画のリアルト・エンタテインメント、フィギュアのREVOLVE、米国事業のAniplex of Americaなどがこの中に含まれる。
アニプレックスは音楽事業のソニーミュージックの子会社のため、その業績は映画部門ではなく音楽部門で売上が計上されている。さらに音楽部門にはサブセグメントに映像メディア・プラットフォームが設けられている。映像メディア・プラットフォームは、アニメ作品とその派生アプリゲームの制作・販売、音楽・映像関連商品、サービス提供などを含み、これが事実上アニプレックス部門と見られる。
映像メディア・プラットフォームの第3四半期までの売上高は1867億円(前年同期比14%増)、第3四半期(10月~12月)のみでは764億円(54%増)と伸びが特に大きい。2020年10月に劇場公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の波及効果が大きかった。
映像プラットフォーム事業単独での利益は発表されていないが、音楽部門の利益は1474億円で前年比31%増である。映像メディア・プラットフォーム事業の売上が音楽部門の3割程度を占めていることから、単独でも利益が伸びたとみてよいだろう。
ただ映像メディア・プラットフォーの売上高のなかには、海外における日本アニメ事業のファニメーション・グローバルが含まれていない。同社は映画事業の中核であるソニー・ピクチャーズがマジョリティの株式を持つからだ。ファニメーション単体の年間売上高はソニー買収前、2019年時点で約1億3000万ドル(136億円)とされていた。それにフランスのワカニム、オーストラリアのマッドマンなどの売上も加わるからソニー全体の日本アニメ関連事業はさらに大きい。
またソニーは昨年12月にファニメーション・グローバルを通じて、日本アニメ配信の大手クランチロールの買収を決定している。クランチロールが先頃、世界の有料会員数の400万人突破したばかりだ。クランチロールの月額利用料は約7ドルであるから、課金だけで年間約350億円の収入が見通せる。来期はソニーグループ全体の日本アニメ関連事業で、年間3000億円規模を見通すことになりそうだ。