東宝系の映画宣伝会社として活動してきた東宝アド株式会社が、2016年10月1日から社名をTOHOマーケティング株式会社に変更した。
合せて、東宝配給映画の宣伝における役割も拡大している。従来の関西営業所、中部営業所に加えて、2016年3月に北海道営業所を設立したが、10月には新たに福岡市天神地区に九州営業所を設けた。国内5大都市をカバーすることで、ローカルでの宣伝業務も行う。
TOHOマーケティングは1963年に株式会社東宝アートビューローとして創立され、1995年に東宝アドに社名変更をした。東宝が手がける映画や演劇の宣伝を東宝宣伝部と連携して担ってきた。また東宝グループ以外からの業務も受託している。
今回は東宝も含めた配給・宣伝体制の再編の一環ともなっている。TOHOマーケティングの宣伝における役割もより大きくなりそうだ。
同時に映画・演劇における宣伝の役割の変化も見据えている。TOHOマーケティングは自社を「エンターテインメントに特化した問題解決型企業」と位置付けている。
チラシやポスターデザイン、予告編、PV制作、さらに劇場イベントの運営から、テレビ、新聞、ウェブでの広告企画・制作、展開まで、映画宣伝に関わる業務をフルラインで揃える。マーケティングとの言葉には、宣伝=アドだけでないとの意味も込められているに違いない。
映画宣伝は従来のテレビ、新聞、雑誌などから、近年はウェブメディア、さらにソーシャルメディアと急激に多様化している。国内の映画会社の多くでは、これらを得意分野に応じて外部の宣伝会社に委託することが多い。自社グループでそのほとんどを行う東宝は異色の存在だが、今後もそうした方針をさらに深めることになる。