「王立宇宙軍 オネアミスの翼」制作資料約1000点、デジタルミュージアム8月10日から公開

王⽴宇宙軍 オネアミスの翼

 1987年3月に劇場公開され、その後のアニメシーンに多大な影響を与えた『王立宇宙軍 オネアミスの翼』のデジタルミュージアムが2022年8月10日から始まる。オンライン上に設けられる新しいタイプの企画展だ。
 アニメに関わる様々な資料やコンテンツにスムーズにアクセス出来るヴァーチャル博物館「ANIMUSE」の第1弾となる。「ANIMUSE」は国の令和2年度の事業再構築補助⾦によるプロジェクトの一環で、アニメ史のなかで価値のあるアナログ資料のデジタル化を進める同時に、それに広くからアクセス出来る環境を目指したものだ。「王⽴宇宙軍 オネアミスの翼」展 Partnersが主催、バンダイナムコフィルムワークス、ガイナックス、それに特定⾮営利活動法⼈アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)が協力する。

 「王⽴宇宙軍 オネアミスの翼」展の大きな見どころは、約1000点を越える展示物が見どころになる。リアルの企画展ではなかなか実現できない規模は、オンラインの特性を活かすことで可能になる。展示物には多数の未公開資料が含まれ、また原画、設定、絵コンテ、イメージテスト映像など幅広い資料から構成される。こうした資料のオンライン上での公開はこれまで展示点数が限られているため、今回のひとつの作品でこの量は空前絶後と言っていいだろう。
 またオンライン展示場の閲覧方法もヴァーチャルならだ。リアルであれば順路に沿ったウォークスルのかたち、いくつかの企画室のかたちをとる。しかしミュージアムの入口空間に螺旋状に⾶びまわる画像のモザイクアートを作り、選び出し画像などからさらに関連コンテンツへとつなげていく。テキスト系コンテンツの探求を可能とする。テキストではバンダイビジュアルの「EMOTION」レーベルを立ち上げた渡辺繁氏による「エモーション魂」や、『名探偵コナン』『シティーハンター』などのプロデューサー諏訪道彦氏が声優の話を聞く「すわっち(諏訪道彦)のレジェンド声優の遺⾔聞きます(仮)」を予定する。
 「Ver.0.3 スペシャルプロローグ」、「本展第⼀弾」、「本展第⼆弾」の3 回から構成され、第1弾のプロローグは無料、本展は有料展⽰を予定する。

 またデジタルミュージアムということで、デザインにもこだわった。“架空の宇宙空間にあるミュージアム”というテーマを設定しスタジオぬえの森⽥繁氏がコンセプト・ストーリーを考えた。さらに外観イメージのデザイン・コンセプトをアニメ監督などで活躍する前田真宏氏が作りだす。館⻑を植⽥益朗氏、企画プロデューサーを渡辺繁氏が務める。
 「ANIMUSE」は今回の『王⽴宇宙軍 オネアミスの翼』を柿落としとしている。今後もアニメの中間素材のアーカイブやクリエイターの知見の共有を目的とした展開を目指すとしている。

 『王⽴宇宙軍 オネアミスの翼』は、1987年に若者が設立した制作集団GAINAXの第1回長編アニメーション映画。山賀博之監督や庵野秀明氏、貞本義行氏、樋口真嗣氏ら制作に参加した。GAINAXはこの後、『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』などを次々に世に送り出す。
 今年35周年を迎え、山賀博之監督監修による35mmマスターポジフィルムからの4Kスキャン、4Kリマスター化による劇場上映も予定している。

『王⽴宇宙軍 オネアミスの翼』展
2022 年8 ⽉10 ⽇~12 ⽉末(予定)
Ver.0.3 スペシャルプロローグ~/本展第⼀弾/本展第⼆弾の3 回にわたり公開予定
料⾦:Ver.0.3 スペシャルプロローグは無料/本展は有料展⽰(予定)
主催:「王⽴宇宙軍 オネアミスの翼」展 Partners
協⼒:バンダイナムコフィルムワークス、ガイナックス、ATAC(特定⾮営利活動法⼈アニメ特撮アーカイブ機構)

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