アニメスタジオのガイナックスが、経営陣を刷新した。2020年2月18日に同社の公式サイトにて明らかにした。発表によれば、2019年12月27日に臨時株主総会を開催し、旧経営陣は取締役、監査役も含めて全員退任した。以後の経営には関与しない。
同日、新たな役員5名(監査役1名含む)が選任されている。代表取締役にはグラウンドワークス代表取締役も務める神村靖宏氏が、取締役には髙石優子氏(KADOKAWA アニメ事業局アニメ制作部部長)、森山敦氏(キングレコード 上席執行役員 ライツ部)、宇佐義大氏(トリガー代表取締役副社長)が就任した。監査役は会計士・税理士の林伸彦氏が務める。
ガイナックスはSFファングループのダイコンフィルムを前身に、1984年に設立された。『王立宇宙軍~オネアミスの翼』、『ふしぎの海のナディア』などのヒット作を生み出し80年代、90年代のアニメシーンを築いた。
1995年には『新世紀エヴァンゲリオン』のアニメーション制作をし一世風靡する。しかしその後、同作監督の庵野秀明氏ら中心スタッフの多くがスタジオを離れた。また『エヴァンゲリオン』をはじめとする主要作品の権利持ち分の多くも他社に譲渡されている。
一方で近年は、経営の悪化が伝えられていた。そうしたなかで昨年(2019年)12月5日に、外部から就任したばかりの社長が声優志望の少女へのわいせつ容疑で逮捕される事件が起きていた。
今回社長に就任した神村靖宏氏はガイナックス出身で、グラウンドワークスはエヴァンゲリオンのライセンス管理をしている。また新役員の出身会社のKADOKAWA、キングレコード、トリガーは、いずれもガイナックスと縁の深い企業だ。昨年の事件をきっかけに、かつての関係者がガイナックスの救済とてこ入れにはいったかたちだ。
新経営陣は、現在のガイナックスは経済的な混乱があり、また知的財産や制作資料が散逸していると指摘する。今後は事態の収拾と事業の正常化を目指す。当面はガイナックスがこれまで手がけてきた作品のブランドを守ることが大きな役割になりそうだ。