資金調達を主目的とした映画・番組の企画マーケット「第2回Tokyo Gap-Financing Market」が、今回参加する20企画を発表した。国際映画祭と併催ということもあり、世界各国から幅広いジャンルの作品が集まった。
このうち3本の長編、2本のテレビシリーズと合わせて5企画がアニメーション作品となった。日本からの企画は含まれなかったが、アジア、ヨーロッパ、南米のスタッフが参加と国際色が豊かだ。
長編映画『ANOTHER WORLD』は香港出身のトミー・ウー・チー・ヂォン監督の作品。これまでは短編で実績を重ねてきた。『SCHIRKOA』のイシャン・シュクラ監督もインド出身で短編で活躍してきた。国際的な製作の枠組で長編を目指す。『ZSAH ZSAH ZATURNA VS THE AMAZONISTAS OF PLANET X 』のアヴィッド・リオンゴレン監督は2016年に長編映画『サリーを救出』ですでに話題を呼んでいる。今回もフィリピンとフランスでの合作を目指している。テレビシリーズはチリにあるルネ・アニメーション・スタジオとスペインのアドマイラブル・フィルムの作品だ。
Tokyo Gap-Financing Marketは、東京国際映画祭の併設国際見本市であるTIFFCOM(東京国際映画祭コンテンツマーケット)の中に設けられている。企画段階の作品を集めたマーケットである。
東京国際映画祭は2021年10月30日から11月8日までの10日間、日比谷・銀座地区で開催される。一方TIFFCOMはコロナ禍ということもあり、昨年に続きオンライン開催で11月1日から11月3日の3日間を予定する。
Tokyo Gap-Financing Marketには今年は世界53ヶ国・地域から97企画の応募があり、5倍近い倍率のなか厳選された。20企画のうち13企画に女性監督またはプロデューサーが参加し、LGBTQや多様性を扱うテーマも増加している。フェアネスを重視する近年の映像業界の潮流も反映した。
近年、国際映画祭や国際コンテンツ見本市はますます数を増やしているが、そのなかでTokyo Gap-Financing Marketはギャップファイナンスに特化しているのが特徴だ。ギャップファイナンスは製作資金の半分以上の調達が終わっているが企画を進めるための最後の資金が足らない状態、その資金の調達を目指すものだ。Tokyo Gap-Financing Marketでは総予算の60%(TVシリーズ企画は50%)をすでに確保していることを参加の条件にしている。
さらにアジアの要素を含む企画であることも条件に加えている。条件を揃えることで企画者と出資者のマッチングの可能性を高める。
開催2回目となるが、昨年の出品企画にはロカルノ国際映画祭金豹賞を受賞した『VENGEANCE IS MINE, ALL OTHERS PAY CASH』(エドウィン監督)やアニメーション映画ではアヌシー国際アニメーション映画祭 審査員賞受賞の『My Sunny Maad』(ミハエラ・パヴラートヴァー監督)も含まれていた。今後話題作の製作参加を探る場として今年も活用されそうだ。
TIFFCOM 2021
https://tiffcom.jp
Tokyo Gap-Financing Market(TGFM)
https://tgfm.tiffcom.jp
[長編アニメーション企画]
■『ANOTHER WORLD』 (香港/シンガポール)
Kai Chung Ng Point (Five Creations Limited)
■『SCHIRKOA』 (インド/フランス/ドイツ)
Ishan Shukla(DISSIDENZ FILMS/RED CIGARETTE MEDIA)
■『ZSAH ZSAH ZATURNA VS THE AMAZONISTAS OF PLANET X 』(フィリピン/フランス)
Avid Liongoren (Ghosts City Films)
[TV シリーズ アニメーション企画]
■RAINBOW HUNTERS (チリ/ブラジル)
Santiago O’Ryan (LUNES Animation Studio)
■SEX SYMBOLS (スペイン/ベルギー)
Paloma Mora (ADMIRABLE FILMS S.L., TV ON, S.L.)