プロダクション I.GやWITスタジオなどでアニメーション事業を手がけるIGポートの業績が好調だ。2022年5月期の第3四半期まで(21年6月~22年2月)までで、連結売上高が85億5200万円に達した。今期から会計基準の変更を実施したため前年同期比は開示していないが、前年同期は68億9400万円、大幅に事業が拡大していることが分かる。
通期での過去最大売上は前年の99億3400万円で、わずかに100億円を下回った。今期は118億7800万円を予想している。第3四半期までの順調な業績で、初の大台超えの可能性は高そうだ。
一方利益面の堅調ぶりも確認出来る。営業利益は9億4500万円(69.6%増)、経常利益は9億2900万円(61.4%増)、当期純利益は6億1900万円(45.1%増)である。
全体では好調を維持しているが、映像制作事業は引き続き課題だ。前年同期の4700万円よりは減少したが、第3四半期までで引き続き3300万円の営業損失を計上している。売上高は45億7200万円だった。
IGポートによれば人件費やCG制作費、外注費が高騰しており、制作期間も長期するなど厳しい環境が続いている。新規受注作品や納品作品の一部は改善したものの、制作費が受注予算を越える受注損失引当金を計上した作品もあるとしている。
期間中の主要作品は『王様ランキング』、『プラチナエンド』、『攻殻機動隊 SAC_2045』、『ULTRAMAN』などのシリーズ作品、さらに劇場用アニメ『バブル BUBBLE』などだ。
版権事業は増収増益で売上高は17億9700万円(16.0%増)、営業利益は5億6600万円(33.7%増)である。製作出資の減価償却費が増えているが、二次利用による収益分配の伸びがそれを上回ったかたちだ。
こちらの主要作品は、『海賊王女』、『進撃の巨人』、『GREAT PRETENDER』、『ハイキュー!!』、『攻殻機動隊』などである。
出版事業はとりわけ好調な部門になっている。電子書籍の急成長が支えている。売上高は19億4800万円(36.3%増)、営業利益は5億1600万円(85.7%増)だ。電子書籍売上は70%増で、事業全体売の60%を占めるまでになっている。
特に好調な作品として、『リィンカーネーションの花弁』、『魔道具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More~』など。今後はグループでの展開も期待されそうだ。