映画製作のアスミック・エースは、近年、アニメ映画でも積極的に事業を開拓している。2022年4月4日に公表された同社の2022年度4月からのアニメラインナップからもその意欲的な取り組みが伝わってくる。
2022年4月以降、同社は劇場アニメが3本、テレビシリーズ1本を製作幹事作品とする。映画は5月28日公開の『犬王』、22年公開の『四畳半タイムマシンブルース』、23年公開の劇場版『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』。テレビシリーズは『ピーターグリルと賢者の時間』、放送時期未定だ。さらに異色の図鑑の映画化『カメの甲羅はあばら骨』も含まれているが、こちらはアニメとの言及はされていない。
またこれ以外にも、アスミック・エース参画作品として、4月1日から同社配給で劇場公開中の『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』、6月10日公開の劇場版『からかい上手の高木さん』、7月8日公開の 『映画ざんねんないきもの事典』もある。幅広く、量も揃ったラインナップだ。
なかでも2022年の目玉となりそうなのが、『犬王』だろう。国内だけでなく海外でも高い評価を受ける湯浅政明監督が室町時代の猿楽を舞台に、奇想天外な音楽劇を繰り広げる。脚本に野木亜紀子、キャラクター原案に松本大洋、音楽に大友良英とスタッフも豪華だ。アニメーション制作はサイエンスSARUが担当した。配給はアスミック・エースとアニメ映画配給でヒット作の多いアニプレックスが共同で手がける。
『四畳半タイムマシンブルース』も制作はサイエンスSARU、『四畳半神話大系』以来シリーズ化されてきた森見登美彦の小説の最新のアニメ化だ。原案・脚本上田誠、監督に夏目真悟、キャラクター原案に中村佑介とこちらも豪華だ。
『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』と『ピーターグリルと賢者の時間』は若者に人気の異世界ファンタジー。アスミック・エースが幅広い作品を揃えようとする方向性が窺われる。
アスミック・エースは1981年に設立したヘラルド・エースが前身、企画・製作・配給・宣伝、さらに海外映画の買い付けと幅広い映画事業を持つ。現在はケーブルテレビ運営の大手JCOMの子会社となっている。フジテレビのノイタミナ枠の初期作品をてがけるなどアニメも古くから実績がある。2010年代後半から再びアニメ事業に力を入れている。
[アスミック・エース 2022年度アニメラインナップ]
【アスミック・エース幹事作品】
・劇場アニメ―ション
『犬王』
『四畳半タイムマシンブルース』
『カメの甲羅はあばら骨』
劇場版『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』
・TVシリーズ
『ピーターグリルと賢者の時間』2期
【アスミック・エース参画作品】
・劇場アニメーション
『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』
劇場版『からかい上手の高木さん』
『映画ざんねんないきもの事典』