米国VIZ Mediaが「RWBY」の権利獲得・作品継続へ ワーナー・ディスカバリーから引継ぎ


 米国のマンガ出版・ライセンスマネジメントの大手VIZ Mediaが、米国生まれの人気作品『RWBY』のライセンス獲得を2024年7月6日に発表した。VIZ Mediaは本作の制作、配給、ライセンス管理、商品化ほかの権利をワーナー・ディスカバリーから取得した。
 『RWBY』はグリムと呼ばれる脅威にさらされるレムナントを舞台に、それに立ち向かう少女たちの活躍を描くアクションファンタジー。2024年3月にシリーズ展開の終了が発表されたばかりだった。
 VIZ Mediaはこの中断している『RWBY』のアニメーションの新章、第10章以降の制作を目指す。詳しい情報は、今後ウェブサイトやソーシャルメディアで発表する。

 『RWBY』は2013年にウェブ発のCGアニメーションとして、テキサスのエンタテインメント会社Rooster Teethが制作、発表をした。発表後、瞬く間に熱狂的なファンを掴みカルト的な人気を博した。その後、人気作品として急成長し、シリーズ化、玩具やグッズ展開、コミカライズ、ノベライズなど多様な展開をしている。2015年に原作者のモンティ・オウムが死去したが、その後も制作は続けられた。
 作品は日本アニメからも強い影響を受けており、日本アニメスタイルを取れいれた海外の代表的な作品とされている。日本でも早くからリリースされており、2015年には劇場映画として公開、2022年には原作シリーズからスピンオフした日本独自のアニメシリーズ『RWBY 氷雪帝国』がアニメ原案・虚淵玄、監督・鈴木利正、シリーズ構成/脚本・冲方丁、シャフトのアニメーション制作で発表された。

 一方で経営面では親会社のたび重なる移動に振り回され続けてきた。Rooster Teethは2014年にウェブエンタテインメントのFullscreenの子会社となり、これを通じてメディアコングマリットのOtter Mediaのグループ会社になる。さらにOtter Mediaの親会社は当初のChernin GroupとAT&Tの共同出資からAT&T単独出資に移行した。経営の主導もChernin GroupからAT&Tに移る。
 その後経営はAT&Tの子会社のワーナー・ブラザース傘下に移り、さらにAT&Tがワーナー・メディアをディスカバリーに売却した後は、ワーナー・ディスカバリーのグループ会社となった。
 しかしワーナー・ディスカバリーの事業再編が進む中で、Rooster Teethも再編の対象になった。ワーナー・ディスカバリーは同社の事業売却を目指したが譲受先をみつかることが出来ず、先頃、事業継続を断念すると発表していた。こうしたなかで人気タイトル『RWBY』の今後を心配する声がファンや関係者からあがっていた。

 結局、『RWBY』のマンガを長年刊行してきたVIZ Mediaが、作品単体で取得するかたちになった。VIZ Mediaは、2016年より日本のマンガ家・三輪士郎の作画の英語マンガ版を出版、世界で刊行している。
 VIZ Mediaは小学館、集英社、小学館集英社プロダクションが出資する日系の米国マンガ出版社。日本の翻訳マンガ出版の大手で、近年は経営の好調も伝えられている。埋もれてしまいかねない日米の人気作品を救ったかたちだ。

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