国内大手出版4社が米国クラウドフレア提訴、海賊版コンテンツの差し止めと損害賠償

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 集英社、KADOKAWA、講談社、小学館の国内大手出版4社は、2022年2月1日に米国サンフランシスコに本社を置くクラウドフレア(Cloudflare,Inc.)を相手に海賊版コンテンツに関わる提訴を東京地方裁判所で行った。クラウドフレアが海賊版サイト運営者に提供しているサービスである海賊版コンテンツの送信・複製の差し止めと損害賠償を求めている。
 クラウドフレアは自社の大型サーバーに顧客のコンテンツの複製を保管することで、快適なサイトアクセスの環境を提供するサービス(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN))の事業会社のひとつだ。同社の顧客には海賊版サイトが多く含まれており、国内出版社にも多大な不利益を与えている。
 また今回は配信最新差し止めや複製の停止だけでなく、損害賠償も含めていることが注目される。損害賠償は提訴各社1作品、4作品のみと膨大な被害作品のごく一部である。しかしそれでも被害総額は4億6000万円にもなるが、むしろCDNの運用でも損害賠償の対象になることを立証することが目的とみられる。

 通常の多くのCDN事業者はサイト運営者の身元確認や違法・不当なコンテンツ配信の監視をしているが、クラウドフレアはこれらが十分でなく、多くの悪質海賊版サイトの利用が集まっている。海賊版サイトはクラウドフレアのCDNを利用することでオリジナルサーバーを秘匿することができるだけでなく、サイト運営を維持をするための不可欠なインフラとしている。
 提訴した一社の集英社は、提訴に至った理由として過去数年間のクラウドフレアの海賊版対策への非協力的な姿勢を挙げている。そのうえで通信インフラを担う企業として同社が相応しいかどうかについても、社会に問いたとする。

 一方海賊版サイトについては、この1月と2月に相次いで海賊版サイトへのURLを掲載するいわゆる「リーチサイト」も摘発しされている。群馬県警サイバー犯罪対策課が摘発した「無料映画倶楽部」というサイトでは映画『天気の子』などの海賊版への誘導がされていた。
 リーチサイトとクラウドフレアに共通するのは、自らは直接ネット上に違法ファイルをアップロードしているわけでないことである。従来の裁判では責任を問うたり、損害を立証するのは難しいとされてきた。
 しかし近年は海賊版サイトのサーバーの所在地や運営がますます巧妙化し摘発の困難さも増している。そこで運営を維持するインフラであるサーバーやCDN、広告提供事業者、決済システム、さらにユーザーを誘導するリーチサイトなどを潰すことで海賊版サイトの持続を困難にすることに目が向かられるようになっている。今回のクラウドフレア提訴は、海賊版サイトの戦いが新たな段階に入っていることを示していそうだ。

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