TIFFCOM、池袋で開催 東京国際映画祭との連携に課題

TIFFCOM 2019

■中国大幅増で、出展団体過去最多
 国内最大の映像コンテンツの国際見本市となるTIFFCOMとTIAFが、2019年10月22日から24日まで、東京・池袋のサンシャインシティ コンベンションセンターで開催された。2004年にスタートし、かたちや開催場所を変えながら、今年で16年目を迎える。映画・テレビ番組、アニメーションなどの映像コンテンツでは、いまやアジアを代表する国際見本市となっている。会場も例年大きな賑わいを見せる。
 2019年は過去最大の405の出展団体数となった。また登録バイヤー数は前年並みの約950名。出展作品ではモバイル/インターネット、書籍の映像化権、知的財産(IP)と広がりをみせている。

 出展団体数の増加は、中国から過去最大の89団体の出展があったことが追い風になった。会場でも行政主導の共同ブースだけでなく、個別企業の積極的な出展も目立った。また並べられた中国の映画やテレビ番組からは、近年の飛躍的な成長が感じられた。
 セミナーでも「中国で勝つ!日中映画共同製作協定による新たな回収戦略の提案」、「中国映画・テレビ業界における国際交流について」、「上海テレビ祭/上海国際映画祭のプレゼンテーション」といった中国関連が大きな目玉だった。3日間を通じて、中国が存在感を放った。
 一方で2019年は、中国頼みの感も拭えなかった。出展数では中国に続く台湾が前年46から35、韓国が39から34に減らしている。これでは国際見本市として海外企業・団体から高く評価されているとは言えない。

■TFFCOM/TIAFの強みアニメーション
 ひとつに見えるイベントだが実は実写映画・テレビが中心のTIFFCOMとアニメが中心のTIAFと役割分担がある。しかし今回の会場を見る限り、そうした区分はほとんど無意味になっている。実写とアニメ双方を扱う企業が多く、バイヤーも必ずしもアニメだけ、実写だけを扱うわけでない。ウェブ作品、書籍原作へのなどのジャンルの広がりも考えれば、TIFFCOMとTIAFの線引きはすでに不可能だ。
 それでもTIFFCOM/TIAFの強みはアニメ作品の豊富なことだ。国内では東映アニメーション、トムス・エンタテインメント、サンライズ、アニプレックスなどアニメ関連企業は活発なビジネスを繰り広げた。東宝やエイベックスといった大手エンタメ企業でもアニメの取り扱いは大きい。国内外のアニメ関係者にとっては、春のAnimeJapanと並んで、重要なビジネスの場だ。

■依然残る会場の課題
 今年の会場はサンシャインシティ コンベンションセンターの2フロアー2層構造の出展会場とやや離れてセミナー・スクリーニング会場となった。池袋での開催は3年目だが、初年に較べると会場の導線は大きく改善され、3つのエリアはうまく回遊出来る。
 しかし池袋サンシャインシティという会場自体の課題は、解決が難しい。ショッピングモールを抱えた巨大施設はそれ自体が複雑で、会場に辿り着くには骨が折れる。観光客やショッピング、エンタテイメント施設の来客も多く、ビジネス環境に最適ともいいがたい。

■望まれる国際見本市として海外と競争する視点
 さらに大きな問題は、関連イベントとの開催時期が切り離されてしまったことだ。もともと東京国際映画祭との連動を目的として誕生したはずだが、TIFFCOMの10月22日から24日に対して映画祭のスタートは10月28日から、これまではJapan Content Showcaseとして同時イベントであった音楽見本市のTIMMも10月28日から30日まで。開催場所も、それぞれ池袋、六本木、渋谷とばらばらだ。
 これでは相乗効果は期待できないし、TIFFCOMは映画祭という彩りが使えず寂しく映る。こうなると映画祭の併催見本市とする意味も薄れてくる。

 国内でグローバルに参加者を呼べるエンタテイメント系の国際見本市の数は決して多くない。そのなかでTIFFCOMは世界で勝負出来る可能性を持つ数少ない国際見本市である。
 しかしアジアだけでも3月に開催される香港フィルムマート、12月に開催されるシンガポールのAsia TV Forum & Marketとライバルがある。両イベントからは遅れを取っている印象も拭えない。
 TIFFCOMはこれらと競っていかなければいけないが、会場、開催時期も含めて力の衰えが見られる。特に昨年と今年のセミナー、カンファレンスの大幅縮小は、気になる点だ。
 セミナーやカンファレンスには追加コストがかかり、新たな収入があるわけでなく、これを維持するのは大変だ。しかし映画祭との同時開催でもなくなると、参加者はミーティング以外にやることがほとんどなくなってしまう。新しい知識の獲得は国際見本市参加の重要な理由のひとつで、セミナー、カンファレンスはそれを提供している。

 TIFFCOMは近年ピッチセッションに力をいれている。日本の制作者が国内外のビジネス関係者に企画を売り込む。これ自体には大きな意味がある。
 しかしクールジャパン政策の多くに共通するが、日本を外に出すことばかりに目を奪われていることだ。そこにはマーケティングでの顧客志向が欠けている。世界的にみれば日本映画・テレビ番組、アニメは、やはりニッチな存在だ。それらを売りつけられるだけの場所と思われたら、来日する海外のバイヤーは限られる。
 世界のコンテンツと言わなくても、せめてアジアのコンテンツが一同に介する場でなければ、海外の映像関係者は興味を持たないだろう。人が集まらなければ、そもそも海外発信にも海外進出にもつながらない。人を集めるためには、世界の情報が集まり、発信する場でなければいけない。

 TIFFCOMがいま考えなければいけないのは、日本独自の事情や運営の内部の課題でなく、いかに国際競争に勝てるかの大局的な判断である。そのためには開催場所、開催期間、プログラム、予算を含めた抜本的な見直しをする時期に来ているのでないだろうか。

JAPAN CONTEN SHOWCASE 2019
https://www.jcs.tokyo/ja

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