優勝作品をNetflixでアニメ化、集英社のマンガ家オーディション番組スタート

「MILLION TAG」

 国内の大手出版社とグローバル映像配信プラットフォームが、マンガの新しい才能発掘で手を組む。2021年7月2日、集英社のマンガ家発掘プロジェクト「MILLION TAG」の優勝者作品を、Netflixでアニメ制作し、世界配信することが発表された。
 「MILLION TAG」はすでに、優勝者に“賞金500万円”、“マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」連載”、“単行本発売”を与えることが明らかにしていた。これに“アニメ化確約”がつく。しかも世界で注目される巨大プラットフォーマーという大きなものである。

 「MILLION TAG」は、集英社が次世代のマンガ家を発掘することを目的に開催している。これまでに6名のマンガ家を選抜してきた。彼らがそれぞれ編集者とタッグを組んで課題に挑み、優勝を目指す。
 最終選考過程はバトルオーディション番組として配信もされる。こちらはYouTubeの「ジャンプチャンネル」のオリジナル番組になる。番組は全8回、7月2日18時より配スタートし、毎週金曜日に新エピソードを更新する。マンガ家と編集者のリアルなやり取りや作品づくりの裏側が描かれる。
 第1話では、新人マンガ家とタッグを組む編集者との組み合わせが発表される。さらに最初の課題に挑戦する。審査員は「少年ジャンプ+」編集長の細野修平氏と副編集長・籾山悠太氏、さらにゲスト審査員として加わる。最終課題の回ではNetflixアニメプロデューサーの小原康平氏もゲスト審査員として参加する。

 Netflixは世界に2億人以上の契約者がいる配信プラットフォームとしてお馴染みだ。日本のアニメ作品のラインナップに積極的で、最近は同社独自のオリジナルアニメにも力をいれている。
 こうしたなかで『鬼滅の刃』、『ドラゴンボール』、『ONE PIECE』などの人気作品を次々と世に送り出してきた集英社と手を組む。優良作品の早期囲い込み、有力出版社との関係強化の一環といえる。アニメ化がどんなかたちで実現されるかは今後の発表になるが、Netflixにとっては新たな挑戦でもある。

 「MILLION TAG」の中心となる「少年ジャンプ+」は2014年にスタートしたが、数あるマンガアプリのなかでも有力サービスのひとつに成長した。現在のダウンロード数は1700万を超える。すでに『彼方のアストラ』など連載作品のアニメ化も相次いでいる。現在は『SPY×FAMILY』、『怪獣8号』といったヒット作を生み出し、目玉にしている。
 「MILLION TAG」は才能発掘のための企画だが、作家や作品だけでなく、選考過程が番組としてコンテンツ化するのは今日的だ。作品とオーディションを盛り上げることで、当初から作家や作品に注目を集めるプロモーションとなっている。同時に「少年ジャンプ+」の認知度とブランドも伸ばすことになる。Netflixでのアニメ制作もそうした仕掛けのひとつと言っていいだろう。

漫画家発掘バトルオーディション番組「MILLION TAG」
YouTubeチャンネル 「ジャンプチャンネル」 
https://www.youtube.com/c/jumpchannel
配信日:2021年7月2日(金)~8月20日(金) 毎週金曜日18時配信 全8回

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