ソニー、アニメ関連事業の売上高は2614億 前年比ではマイナスで頭打ち

ファイナンス決算

■ゲーム好調で売上高、利益は伸び
 2019年4月26日に、ソニーは19年3月期通期決算を発表した。グループ全体の連結売上高は8兆6656億円(1.4%増)、営業利益は8942億3500万円(21.7%増)、当期純利益は9162億7100万円(86.7%増)と好調だった。またその巨大ぶりを見せつけた。
 ゲーム&ネットワークサービス部門が好調で、モバイル・コミュニケーション部門の減収をカバーした。また半導体部門、金融部門、音楽部門も売上げを伸ばした。利益面では2年連続で過去最高を更新となった。

 ソニーのなかでも近年勢いを増しているのがエンタテイメント事業である。音楽部門、映画部門、ゲーム部門の3部門の売上高合計は4兆1000億円と、グループ全体の連結売上高8兆6657億円の5割近くなる。
 また営業利益は3部門で約6000億円、こちらは全体8942億円の約2/3にあたる。ソニー全体にとってエンタテイメントは大きな部分を占め、無視できない存在だ。

■音楽部門 スマホアプリゲーム好調も今期は減収見通し
 このうち国内アニメ製作やアニメから派生するスマホアプリゲーム・映像ソフト・音楽ソフトが含まれるのが、音楽部門のなかの映像メディア・プラットフォーム事業になる。アニプレックス、A-1 Pictures、Quatro Aなどアニメ関係者にお馴染みの企業が含まれる。この通期の売上高は2614億3300万円だった。依然大きな金額だが、前年比では約1%の微減になった。
 ソニーは音楽部門のスマホアプリゲームによる利益が部門全体の2割弱と説明している。期中の営業利益は2325億円だからアプリゲームだけで400億円台の利益を生みだしている計算だ。ただし2020年3月期については、アプリゲームは減収を予想している。メガヒットのゲームタイトルが事業を支えてきたが、ここでもそろそろ頭打ちと見通しが立てられている。
 日本と米国のソニーミュージックを合わせた音楽部門全体の売上高は8075億円。1%増とほぼ前年並みであった。一方で営業利益は2325億円と急増したが、こちらはEMIの連結子会社化で、その資産価値を再評価したことで1169億円の利益がでたためだ。

■劇場作品のヒットに欠け、テレビ事業も不調の映画部門 
 ソニー・ピクチャーズを中心とした映画部門は売上高9869億円。為替変動のプラス効果はあったが、前年比で3%の減少だ。『ヴェノム』『スパイダーマン:スパイダーバース』『モンスターホテル3』はあったが、映画のヒット作が不足した。全世界での劇場興行収入が減少している。コスト面では期間中の映画製作費は4090億円であった。
 テレビ事業も勢いが欠けている。CATVなどのネットワーク事業で、広告と視聴料の収入が落ちている。アニメ関連でもアニマックス・アジアが一年間で契約数を1220万世帯から1070万世帯に減らした。営業利益は546億円と前年より135億円増えているが、前年に大ヒットになった『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』や『ピーターラビット』の放送や映像ソフトのライセンス収入があったため。また劇場公開作品の広告宣伝費の減少が力を発揮した。

■伸び率の高いゲーム配信事業、プレイステーション プラスに今後の期待
 ゲーム&ネットワーク部門の売上高は2兆3109億円、前年比で19%増である。営業利益も3111億円と前年から1336億円増加した。事業の中心はソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のPlayStation関連だ。
しかしPS4自体の売上げは減少し、ゲームソフトが伸びた。さらに配信ネットワークプレイステーション プラスの加入者数の伸びが、売上げと利益を牽引している。
 SIEはゲームストリーミングに今後も力をいれていく。2012年に買収したGaikaiから始まった「PS Now」を軸に今後も積極的に展開していく。「PS Now」は月額19.99ドルの定額課金サービスで、現在注目の高いサブクリプション型のコンテンツ使い放題である。ゲーム分野でこれに取り組む。現在の有料会員は約70万人と決して多くないが、5年間の年平均増加率は40%超にもなる。今後のビジョンや戦略を、5月にあらためて発表する予定にしている。

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