国内では2017年7月8日に封切られた長編アニメ映画『メアリと魔女の花』の米国公開が決定した。米国の映画配給会社で上質なアニメーション作品を得意とするGKIDSが配給権を獲得、今冬公開を予定していると発表した。
GKIDSによれば、今回のライセンスはイギリスの新興配給会社Altitude Filmと交渉によるものだ。Altitude Filmは、日本公開前より本作の世界配給権を獲得していた。
米国公開の具体的な日程や公開規模は明らかにされていないが、これまでのGKDS配給作品同様に良質なアニメーションとして限定公開になりそうだ。また、公開時期によっては2017年度(2018年発表)の米国アカデミー賞を狙うこともありそうだ。
『メアリと魔女の花』は米林宏昌監督のもと、イギリスのメアリー・スチュワートのファンタジー小説をアニメ化した。アニメーション制作は、2015年に設立されたスタジオポノックが担当した。
スタジオポノックはスタジオジブリ出身の西村義明氏が立ち上げ、米林宏昌監督もスタジオジブリ出身だ。制作は他にもジブリで経験を重ねたスタッフが多く、ポストジブリとして注目を浴びた。
そうしたイメージは海外でも、効果を発揮したようだ。GKIDSは、スタジオジブリの数多くの作品の米国配給を手がけている。そのライブラリーには、宮崎駿監督や高畑勲監督の作品も含まれている。
また『かぐや姫の物語』、『思い出のマーニー』、『コクリコ坂から』では、新作劇場公開も手がけた。『思い出のマーニー』は、米林宏昌監督で西村義明氏のプロデュース、米国アカデミー賞の長編部門にもノミネートされている。スタジオは変わったが、こうした信頼が今回の配給につながったと見ていいだろう。
GKIDSの配給は、先の作品で数十館規模で決して大きくない。しかし、映画祭やメディアを通じたマーケティングに巧みで、アカデミー賞ノミネートの常連として知られている。『メアリと魔女の花』にもアカデミー賞ノミネートへの期待がかかりそうだ。