クランチロール有料会員400万人、登録ユーザー1億人突破

クランチロール新ロゴ

 日本アニメの海外向け配信の大手クランチロールの有料会員数が400万人を突破した。2021年2月2日に、クランチロールより発表された。
 2006年にスタートしたクランチロールだが、当初の日本アニメフォーカス戦略が当たり、とりわけ近年はユーザー数獲得の勢いを増している。300万人突破の発表は2020年7月だから、半年で有料会員を100万人積み上げた。最初の100万人獲得に10年、200万人に2年、300万人にさらに2年かかったのに較べてもその好調ぶりが分かる。

 クランチロールが他の大手プラットフォームと異なるのは、無料視聴の充実である。こちらは広告をつけることでより多くのユーザーに利用されている。
 登録ユーザーの数も伸びている。2月2日の発表では、1億人を突破し節目の大台を超えた。20年7月の発表では7000万人であったから、半年間で3000万人の大幅増加である。
 課金のない無料登録ユーザーの拡大も、広告収入の増加につながるので業績に与えるインパクトは大きい。さらに配信収入よりは認知度を高めたい作品にとっても有効なメディアとなる。1月25日に配信を開始したテレビシリーズ『機動戦士ガンダム』もそうしたひとつだろう。

 現在は、膨大なユーザー数を背景に事業の多角化を進めている。昨年末にはRPG『プリンセスコネクト!Re:Dive』英語版のグローバル配信開始を発表、2ヵ月で事前登録数は80万を超えた。
 さらに2019年から本格化しているアニメスタイルのオリジナル作品も、引き続き注力している。2月2日には、イギリスからの企画でダークファンタジーアニメ『Dantai(仮題)』を製作も発表した。

 一方で業界の関心を呼ぶのは、昨年12月に発表されたソニーグループによるクランチロールの買収決定である。実際の買収は米国の関係当局の許可が出た後、しばらく先になるとみられるが、これまで連携を強めてきたワーナー メディアグループから離れることでどのような影響を与えるかだ。
 ソニーグループのファニメーションは、クランチロールの有力マーケットであるラテンアメリカ市場の開拓に注力を続けている。重複事業、重複投資も目立つだけに、どのようにグループ内で事業を再編していくのかが注目を集めそうだ。

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る