デジタル出版関連事業のメディアドゥが、引き続きM&A活用した事業拡大に積極的だ。企業買収を通じて、新事業・新分野へのスピード感のある取り組みを目指している。その一つが海外事業の開拓だ。
2021年1月21日メディアドゥは、米国マサチューセッツ州に拠点を持つファイヤーブランド(Firebrand)グループの買収を発表した。米国法人のメディアドゥ・インターナショナルを通じてファイヤーブランドグループのクオリティ・ソリューションズ(Quality Solutions, Inc.)の全株式を9億2400万円、ネットギャリー(NetGalley LLC)の全株式を5億5400万円で、それぞれ1月29日付けで複数の個人株主より取得する。
クオリティ・ソリューションズはファイヤーブランドの名称で、書籍の書誌情報管理、情報配信、電子書籍配信を手がけている。2019年12月期の売上高は7億9000万円、営業利益は69万円、当期純損失が3800万円となっている。現在は4100万円の債務超過でもある。
またネットギャリーは、電子書籍のゲラ(プルーフ本)を配信するweb マーケティング会社。メディアドゥは同社の国内代理店をしている。売上高は3億3800万円、営業利益、当期純利益とも4800万円である。
メディアドゥは今回の買収を通じて、北米で進む出版のデジタル化のノウハウ国内出版業界に導入することを目指す。またファイヤーブランドが北米に持つ顧客ネットワークを活用することで、グループの国際事業拡大を推進できるとする。
メディアドゥの業績はデジタル出版を求める巣籠もり需要で主力の電子書籍事業を中心に好調だ。21年2月期は第3四半期までで売上高は620億円(前年比29%増)、営業利益21億5000万円(58%増)、当期純利益12億6000万円(42%増)となっている。こうした業績が積極的なM&Aを支えているといえるだろう。